10/04/15 22:52:11
法務省は12日、弁護士事務所の設立に関する規制を大幅に緩和する方針を固めた。日本で
外国法に関する業務を扱う外国法事務弁護士が事務所を設置しやすくなるように関連法を
整備し、国内での支店開設を認めることなどが柱。企業活動の国際化が進む中、地方の企業
や中小企業でも外国企業との渉外業務は増えており、利便性の向上につながる可能性がある。
同省は早ければ秋に想定する臨時国会に「弁護士法人法案」(仮称)を提出する方針。
2012年の施行を目指す。
法律事務所には組合と法人の2つの形式があるが、組合形式では1組合につき1つの事務
所しかつくれない。法人形式では本店のほかに複数の支店を設置でき、広域にわたる法律
サービスを提供できるようになるなどの利点がある。
01年の弁護士法改正で、日本の弁護士は法人形式の事務所を設立できるようになったが、
外国法事務弁護士には認めていなかった。米国や欧州は「国内外の法律の不平等を解消すべ
きだ」として、法整備を強く要望していた。
法務省は新法案に、国内法だけでなく、外国法の取り扱いを認められた弁護士であれば、
法人設立ができる内容を盛り込む。弁護士と外国法事務弁護士の共同出資型の法人設立も
認める。
法人形式の弁護士事務所なら、例えば東京に事務所を構える弁護士法人が大阪や福岡など
に拠点を設けることができる。利用者は国内外の法律に関する助言をより身近に受けられる。
法改正により、長期的には日本だけでなく外国の法律業務にも精通した事務所が増える
可能性がある。顧客企業は国際案件に関して、国内法と国外法のそれぞれの助言を1つの
事務所で受けられるようになる。地方の中小企業がアジアなど新興国向けに拠点を設ける
場合や、販路を拡大する際の手続きが容易になりそうだ。
M&A(合併・買収)や他国での特許申請、海外での事業所進出など、民間企業では国境
を越えた経済活動が増える傾向にある。こうした流れを受けて、外国法に関する助言への
需要も急増している。こうしたサービスが提供できる大手の法律事務所や外国の法律事務所
の日本事務所は東京に集中しており、顧客も大手企業や外資系企業が中心となっている。
外国法事務弁護士の数は昨年12月に323人となり、10年前と比べると3倍以上に膨らんだ。
個人へのサービスに関しても今後、国際結婚や相続などで国内法だけでは対応できないケー
スも予測され、潜在的な需要はあるとの声が法曹界にもある。
国内で活動する弁護士数は約2万7000人。ほとんどは日本の法律を扱う弁護士で、これ
とは別に米国、中国、欧州各国など約20カ国・地域の法律業務を扱う外国法事務弁護士が
いる。国籍別には米国が4割、日本が2割を占める。日本の弁護士資格はないが、外国で
弁護士資格を取って、弁護士法人や民間企業に所属し、外国法に関するサービスを提供する
人は数千人程度いるとされる。
ソース:日本経済新聞
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