10/04/13 12:26:06
民主党政権がはっきりと打ち出した「相続税の増税」。その施策は明らかに他国の
動きと逆流している。
カナダ、イタリア、オーストラリア、シンガポール…、これらの国々では相続税を
課さない。米国でも、ブッシュ政権時代に「相続税ゼロ」を打ち出し相続税減免へと
動いている。各国が“金持ち争奪戦”へ手を打つなか、日本の増税政策はさらなる
国際競争力の低下につながりかねない。
日本人メジャーリーガーをクライアントに抱えるなど、日米両国での相続税制に詳しい、
奥村眞吾税理士に世界の動きを聞いた。
【金持ち争奪戦が起きている】
■民主党政権でははっきりと「相続税増税」を打ち出しています。
他国ではどのような状況でしょうか。
世界的な潮流は相続税を減税する方向です。米国ではブッシュ政権で「相続税ゼロ」を
目指していました。結局はオバマ政権に変わり、ゼロとはならなかったのですが、
非課税枠は拡大しています。2009年に200万ドルから350万ドルへとなりました。
さらに、カナダ、イタリア、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデン、
マレーシア、シンガポールといった国は相続税はありません。
いわば世界中で「金持ちの争奪戦」をしている状態です。富裕層を取り込めば、経済の
活性化にもつながります。お金をたくさん使ってくれるし、国債を買い支えてくれると
いうメリットもあります。
日本の相続税増税の動きは富裕層の海外流出を加速してしまうことにもつながります。
■ただ税率と非課税枠だけを見てみると、米国の「遺産税」も
決して緩いものではないと思えます。
日本の相続税の基礎控除額は「5000万円+法定相続人の人数×1000万円」で、資産が
3億円を超える場合、最高税率が50%となります。
一方、米国では基礎控除額が350万ドルです。課税遺産総額が200万ドルを超えてようやく
最高税率の45%となります。ただし、米国の場合、法定相続人の人数が多くなっても、
相続税が減免されることはありません。
米国では、日本にはない様々なオプションがあるところもポイントです。例えば、一定額
の寄付をした場合、遺産税が減免されることがあります。また様々な信託サービスが
あり、それを使用することで節税することができます。
【ヨット購入で節税】
そのうえ、米国では富裕層にとって節税しやすい環境が用意されています。富裕層は
節税対策の一環として、「ヘリコプター」や「ヨット」などを購入します。こうした
商品は加速度的に償却ができる。
例えば5000万円で購入したヘリコプターやクルーザーが短期間で償却でき、死亡時には
資産価値が1円となっていることもある。こうすることで相続税は抑えられます。
だから多くの富裕層は「ヘリコプター」や「ヨット」に対して購入意欲が沸くのです。
ヨットは“セカンドハウス”とも呼ばれています。
※続く
◎ソース URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)