【コラム】日本が「本物の格差社会」になるのはこれからだ(池田信夫) [10/04/08]at BIZPLUS
【コラム】日本が「本物の格差社会」になるのはこれからだ(池田信夫) [10/04/08] - 暇つぶし2ch1:@@@ハリケーン@@@φ ★
10/04/08 18:36:43
 民主党が野党だったころ、「小泉改革のおかげで日本は格差社会になった」と自民党政権を
批判するキャンペーンを張っていたが、最近はいわなくなった。民主党政権になっても、
格差は縮小しないからだ。もともと所得格差の指標としてよく使われる「ジニ係数」でみると
、日本はOECD(経済協力開発機構)諸国の平均より少し高い(格差が大きい)程度だ。
見かけ上の所得格差が広がっている最大の原因は、高齢化による引退である。

 しかし世界的には、所得格差は拡大する傾向がみられる。特に英語圏では高額所得者の
独占度が高まり、たとえばアメリカでは所得上位0.1%の高額所得者の所得総額は、1970年代
までは全所得の2%程度だったが、2000年には7%を超えている。これに対して日本の独占度
は、この30年間ずっと2%で、ほとんど変わらない。他方、所得格差の拡大した国ほど成長率
の高まる傾向がみられ、この点でも英語圏が最高で日本は最低である。

 世界的な格差拡大の原因は、二つあると考えられている。一つはIT(情報技術)の普及に
よって知的労働者の情報生産性が上がったため、それに対応して高級ホワイトカラーの賃金が
上がる一方、単純な事務作業がコンピュータに代替されて、ブルーカラーの賃金は下がったの
である。逆に日本でこういう格差が広がっていないのは、雇用慣行が硬直的なためにITによる
業務の合理化が進んでいないことが原因と考えられる。したがって成長率も上がらないわけだ。

 もう一つの原因は、グローバル化による新興国との競争で単純労働者の平均賃金が下がって
いることだ。日本で起こっている「デフレ」の最大の原因は、実はこれである。中国のGDP
は今年、日本を抜くとみられているが、人口は10倍だから、一人あたりGDPは日本の1割であ
る。これが日本に追いつくには、少なくとも20年はかかると推定されている。逆にいうと、
今後20年間は、日本の賃金は中国に近づく(下がる)傾向が続くわけだ。

 このような「格差拡大」は、グローバルにみると先進国と新興国の「格差縮小」なので、
必ずしも悪いことではなく、それを止める方法もない。したがって日本がこれに対応する
方法は、二つしかない。新興国と競合しない知識集約的な産業を発展させることと、新興国と
競合しない内需産業に労働人口を移動することである。

 成長率を高める点では前者が重要だが、知識集約産業にはあまり雇用吸収力がない。日本の
成長率が高まることが今後あまり期待できない以上、内需産業、特に福祉サービスの労働生産
性を引き上げることによって、格差の問題にも対処することが賢明だろう。

ソース:ニューズウィーク日本版
URLリンク(newsweekjapan.jp)


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