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メッキ加工の「田口電機工業」(三養基郡基山町、田口英信社長)が、直径0・1ミリの歯車など、極小の超精密部品の試作に
成功した。血管を通る医療器具など超小型機械(マイクロマシン)の製作につながる技術で、県立九州シンクロトロン光研究
センター(鳥栖市)の設備と同社の加工技術を組み合わせて実現した。組み立てや駆動するかどうか実験を始めている。
試作したのは歯車や電源を供給するコネクターなど。樹脂にシンクロトロン光を当てて成形し、電気メッキを施して仕上げる。
シンクロトロン光は紫外線や可視光線に比べて波長のぶれが少なく、安定的で高いエネルギーを持つため、精密な成形が
可能になったという。
九州大学理学研究院の武田信一教授(構造物性)は「歯車一つとっても、これまでのサイズは1ミリ以上。これほどのサイズの
素材で実用化された機械は見たことがない」という。現在、顕微鏡を使ってピンセットで組み立て、歯車が駆動するかどうかの
実験に入っている。
極小部品ができることは、ミリ単位以下の極小機械の製作につながる。医学分野では、小型化が進む胃カメラや内視鏡
体液の排出や薬剤の注入に使われる金属管「カテーテル」などへの応用が期待できる。
血管の中を通し、手術や写真撮影をする全く新しい医療器具ができる可能性がある。これまでミリ単位の金属部品を組み込んだ
センサーやスイッチはあったが、複雑な構造のマイクロマシンは世界で例がないという。
武田教授は部品を組み立てる装置の開発など実用化に向けた課題は山積しているとした上で、「世界初の試みで、さまざまな
産業利用の可能性を秘めている。最先端技術は特殊性の高い中小企業から出てくることが多く、産官学で育てていくべき」という。
田口社長は「超精密部品がきちんと動き、量産化できれば医療分野をはじめ、社会へ与えるインパクトは大きい。
自社でマイクロマシンを作るのが夢だが、まずは部品を採用する企業を探したい」と話す。
▽ソース:佐賀新聞 (2010/03/28)
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