10/03/25 23:59:50
パナソニック電工は2008年度から3カ年計画で、全社で「シゴトダイエット」活動に取り組んでいる。1人当たりの
年間業務時間を毎年50時間ずつ減らし、 3年間で合計150時間の削減に挑む。浮いた150時間のうち半分の
75時間は新しい仕事に充て、残りの半分は自己啓発や家族との団らんなどプライベートに充てる計画だ。
2009年9月末時点では、活動が本格的に始まった2008年6月と比べて1人当たり16カ月で約102時間(月間
平均6.4時間)分の無駄な業務時間を削減した。全社員の合計値は約139万時間(月間平均8万7000時間)。
その半分の70万時間がプライベートに充てられ、残業代などを勘案すれば、10億円以上の労務費を削減した
とみられる。
シゴトダイエットはコスト削減ではなく、業務生産性と自己啓発の余力を高めることを主目的にしている。だが、
残業代などの労務費を抑制したい企業にも役立つ工夫が多数盛り込まれている。
◆“シゴトメタボ”の連鎖を断ち切る
同社がシゴトダイエット活動を始めたきっかけは、経営陣が1978年と2007年の売上高や経常利益、従業員数を
比較してみたことにある。売上高が4.4倍の1兆7000億円、経常利益は3.1倍の834億円まで拡大していたにも
かかわらず、従業員1人当たり売上高は0.9倍、同経常利益は0.6倍に縮小していた。「IT(情報技術)投資などを
して生産性を高めてきたはずなのにおかしい。ムダな仕事が増えているに違いない」と考えたのだ。
実際、社内を見渡すと、仕事が忙しいために、上司や同僚とのコミュニケーションが不足し、仕事の生産性が
低下している社員の姿が目についた。「“シゴトメタボ”(仕事にぜい肉がつく状態)の連鎖が進んでいた」と
シゴトダイエットプロジェクトの岩瀬健弘プロジェクトリーダーは語る。
2008年4月に常務取締役(現・専務取締役)の村上通男人事部長をプロジェクトマネジャーとして誕生した
シゴトダイエットプロジェクトは、岩瀬リーダーなど専任者4人と兼任者13人で構成される。
このプロジェクトチームの役割は、社内に約800ある全部署からシゴトダイエット活動の具体的なテーマと
対応策を募集し、その内容を分類してテーマごとに有効な施策を提示することだ。イントラネットのテーマ提案
入力画面には、予想効果を「人×時間」で書き込む欄に加え、対応策を実行した後の成果を書く欄もある。
活動の振り返りを徹底させ、さらなる改善を促したいからだ。
プロジェクトチームは2009年9月末までに6195個のテーマを集めた。2008年度上期時点では「会議のムダを
無くしたい」というテーマが最も多く提出されていたため、その期待に応えるべく、最初の全部署共通テーマを
「会議ダイエット」と定めた。プロジェクトチームは全社に「その会議は必要ですか」「開催時間は適正ですか」
「参加人数は適正ですか」と呼びかけた。
▽ソース:日本経済新聞 (2010/03/22)
URLリンク(www.nikkei.com)
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