10/03/24 19:16:13
労働者派遣法の改正の政府案が固まった。仕事があるときだけ働く登録型の派遣も製造業へ
の派遣も、原則禁止という内容になっている。
こうした規制の強化について私たちはさまざまな問題点を指摘してきた。まず、派遣で
働けなくなる人が続出して、雇用不安が広がる。
施行まで3年から5年の猶予期間をおき、登録型派遣では専門性のある業務を認めるなどの
例外を設けても、派遣で働いていた人たちがこれから職を失わずに済む保証はない。
企業にとっては仕事の繁閑に合わせて人材を手当てできる派遣の活用が制限されることで、
コスト増の心配がある。正社員の賃金が下がり、人員削減が進むなどの懸念もある。
労働市場の機能を生かした人材派遣は、雇用の伸びない分野から医療や環境関連などの
成長分野へ労働力を移し、経済を活性化させるうえでも役立つ。派遣労働者にも企業にも
経済全体のためにもならない規制の強化は大いに疑問だ。
派遣法見直しのなかで評価できた部分も、政府案づくりの最終局面で見送られた。派遣先
企業が労働者を受け入れる際の事前面接は部分的に解禁されることになっていたが、社民、
国民新両党の反対で覆った。
労使双方が参加する労働政策審議会の議論では、期間を定めずに派遣会社に雇用される
労働者については、受け入れ側の企業による事前面接を解禁することで合意していた。
企業が本人の適性などをみて、受け入れを拒む場合も出るが、派遣会社と期間の定めのない
契約を結んでいれば、その人の雇用は比較的安定しているはずと判断したためだ。
社民党などは、事前面接を解禁すれば派遣労働者の働く機会が狭まるという。だが事前面接
を望む企業は多く、派遣会社は期間を限定しない契約の労働者の雇用を増やしていく可能性が
ある。審議会では労働側もそう考えて部分解禁を了解した。
2008年6月1日時点で期間の定めのない契約の派遣労働者は47万人。派遣労働者のなかでは
雇用が安定している人たちが増える芽を、2党は摘んでしまったのではないか。
どうすれば雇用を守り増やせるかという観点から、国会では政府案について徹底して議論し
てほしい。
ソース:日本経済新聞
URLリンク(www.nikkei.com)
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