10/03/24 19:11:14
三菱重工業は9月をメドに企業年金の給付額を減らすことで、月内にも労働組合と合意する
見通しとなった。現役社員と一部の退職者を対象に給付利率を現行の2.9%から0.3%下げる。
経営が比較的健全な大企業が、すでに年金を受け取り始めた退職者も減額の対象に含めるのは
珍しい。年金財政を安定させるのが狙いだ。低金利による資産運用難や会計制度の国際化にも
備える。
給付利率は年金の給付額を計算する際に使う利率。現在は10年物国債の直近3年間の平均
利回りに1.3%を上乗せしている。この加算部分を0.3%縮小し1.0%とする計画。退職者など
が受け取る年金額は平均で月1000円程度減る見込み。給付利率は今後、3年ごとに見直す方針。
今回、見直しの対象となるのは現役社員約3万4000人と、1万9000人いる退職者の過半数。
給付利率を下げるには、現役社員などの同意を取り付ける必要がある。現役については労働
組合と最終協議に入っている。OBについては同社は99年ごろから退職者に対し、経済環境に
よっては将来の年金受取額が変動する可能性を伝え、了解を得ているという。
株安や超低金利で年金の資産運用成績は低迷している。社員や退職者に約束した退職金や
年金を満額支払うためには、2591億円の資産が不足している(2009年3月期末時点)。不足分
を穴埋めするための負担も業績を圧迫している。
今回、給付利率を下げると数十億円規模の負担減となる見込み。国際会計基準への対応で
12年3月期から積み立て不足が全額、負債に計上される見通しとなったことも給付見直しに
つながった。
日本航空は年金問題への対応が遅れ、経営を圧迫した。従業員のやる気を保つには年金制度
の維持が必要だ。三菱重のように前倒しで年金財政の改善を目指す動きが今後、広がる可能性
が高い。
ソース:日本経済新聞
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