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民主党系の新たな財界組織を創設する「新・経団連構想」がうごめき出している。
各業界のリーディングカンパニー１００社ほどをメンバーにした精鋭集団で、
トップには昨年まで経団連副会長を務め、民主党とも相性のいい新日鉄の三村明夫
会長（６９）の名前が取りざたされている。
「新・経団連構想」はもともと、民主党が財界にほとんどパイプを持っていなかった
ことから、小沢一郎幹事長に近い筋が経済界に打診したとされる。自民党ベッタリ
だった経団連に代わる財界組織として、民主党への協力を約束させる代わりに、
政権に政策要望できるというものだ。
最大のポイントは、各業界のトップクラス企業２～３社で構成し、計１００社ほどしか
加盟できないこと。現在の経団連は約１６００社が加盟しているが、新・経団連には
その１０分の１以下しか参加できない。
新・経団連のトップについて、ある財界首脳は「新日鉄（会長）の三村さんが適任で
しょう」と指摘する。三村氏は昨年まで経団連の副会長を務めていて、会長候補にも
名前があがった人物。その経営手腕は高く評価されている。
このほか、数少ない財界の民主党シンパで経営再建中の日本航空会長も務める稲盛和夫
京セラ名誉会長（８０）や、新日鉄の今井敬名誉会長（８０）も新・経団連が設立へと
動き出せば、なんらかの形でかかわってくるとみられる。
「小沢幹事長と親交があるとされる経団連首脳のほとんどが、今井さん経由」（大手
企業幹部）ということで、同じ新日鉄の三村氏が新・経団連のトップ候補の大本命と
して浮上している。
新・経団連構想はもともと、自民党への巨額献金取りまとめ機関となっていた経団連を
つぶすのが狙いだった。２００８年の実績で、自民には２９億円の献金をしていたのに
対し、民主にはわずか８３００万円と大きな差を付けていた。
新・経団連構想をチラつかせられプレッシャーをかけられた経団連は今月８日、政治
献金への関与をやめることを決定。御手洗冨士夫会長（キヤノン会長、７４）は同日、
「経団連は今後、シンクタンク機能を強化し、政権、政党と向き合う」と殊勝な言葉を
並べたが、時すでに遅しの感はいなめない。
財界から自民党への巨額献金を封じ込めるために出された新・経団連構想だったが、
経済界にはそれを受け入れる雰囲気も漂い始めている。経団連の会長人事をめぐる
ゴタゴタや、新体制への不信感は意外にも根強く、「新・経団連へのシフトは致し方
ない」（大手企業首脳）との声まで出ている。
経団連の次期会長には米倉弘昌住友化学会長（７２）が内定したが、「民主党に強い
パイプを持つ会長候補者は他にもいたはずだが、米倉さんを選んだことで、政権与党
である民主党との関係を改善させる気がないことを証明してしまった」（経団連加盟社
トップ）と落胆の声も漏れ伝わってくる。
また、経団連の事務総長を副会長に昇格させた人事も、「経団連が、会員各社の要望に
添った政策立案などに重点を置かず、儀礼的なセレモニーを重視する組織になる」（同）
ことを意味すると受け取られている。
支持率低下が止まらない民主党にすれば、財界との連携強化で成長戦略やデフレ脱却の
シナリオを描きたいところ。新・経団連構想は政財界で現実味を増している。
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