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「コンパクトシティ」こそ高齢化社会のトレンド / SAFETY JAPAN [森永 卓郎氏] / 日経BP社
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第111回
「コンパクトシティ」こそ高齢化社会のトレンド
2011年春に、九州新幹線が全線開通する。
では、これによって熊本や鹿児島の町は本当に繁栄するのか。残念ながら、現状のままではそれは
難しいとわたしは思うのだ。
実際に、新幹線の中間駅となる熊本市においては、ここにきて悲観的な見方が急速に高まっている。
そこには、高速交通網の整備によって、全国どこにでも起こりうる問題が横たわっているのである。
九州新幹線の開通によって、熊本市が懸念しているのは「ストロー効果」である。
ストロー効果というのは、高速交通網が整備されることにより、規模の大きな都市がさらに発展し、
規模の小さな都市が衰退していく様を指す言葉だ。まるで、小都市の経済力が大都市にストローで
吸い取られるように疲弊していくため、こう名付けられている。そこで、熊本市と福岡市を比べて
みれば、その差は明白である。
福岡というのは、日本の地方都市のなかで、都市機能のすべてを持ち合わせた珍しい町だ。大規模
ショッピングモール、大型ホテルがあり、プロ野球の球団、劇団四季の劇場まで揃っている。申し訳
ないが、福岡とまともに勝負しても熊本に勝ち目はない。
新幹線開通によって熊本と福岡(博多)が35分程度で結ばれれば、熊本の購買力が、高級品を中心に
福岡に流出することは確実だろう。
懸念されるのはストロー効果だけではない。新幹線の開業は、熊本の観光産業にとっても両刃の剣となる。
これまでは熊本市内で宿泊していた観光客の多くが、新幹線開通後は素通りしてしまうと考えられる
のだ。おそらく日帰りの観光客も増えるだろうし、熊本県を1日で通過して鹿児島県や宮崎県で泊まる
人も増えるだろう。
失礼ながら熊本の観光業にはそれほど強い競争力はなく、さらに前述したように熊本の商業については、
ストロー効果を防ぐだけの力は観光業以上にないと思われるのだ。