10/03/10 01:56:42
10年春闘の労使交渉は、連合が6日に東京都内で中央集会を開くなど、17日の集中回答日に向けて終盤戦に突入した。
ベースアップ(ベア)要求した組合は一部にとどまり、大半が定期昇給(定昇)死守と一時金の満額確保を目指す「守りの春闘」の
様相が強い。経営側は業績の先行きに慎重で、自動車は定昇維持の方向が固まったものの、一時金は厳しい交渉。
電機は、経営側が定昇制度の将来的な見直し論を提起した。
自動車
トヨタ自動車の労組は5年ぶりにベア要求を見送り、定昇維持と年間一時金(基準内賃金の5カ月プラス10万円=184万円)を
要求。定昇は維持される見通しだが、経営側は一時金は満額回答を見送る方針だ。2期連続で営業赤字の見通しで、大規模
リコール(回収・無償修理)に伴う費用増や販売減などで10年度の業績も弱含んでいるためだ。
一時金の満額回答が見送られれば、2年連続となる。
ベアを要求したのは日産自動車と富士重工業の労組。日産では、ベア相当分を含む「賃金改定原資」(7000円)の要求に対し
経営側は「原材料価格高騰など不透明要因が多い」(高橋雄介執行役員)と難色を示し、妥結のメドは見えていない。
富士重では、1000円の賃上げ要求に対し、経営側は業績の先行き不透明感などを理由にゼロ回答とする見通しだ。
「非正規」の処遇改善…「正規」側の意識に壁
連合は今春闘で、非正規労働者も含むすべての労働者の処遇改善を掲げている。非正規の待遇改善を本格的な労使交渉の
俎上(そじょう)に載せるには、組合が非正規の組合加入を認め、組織化することが必要だ。
「要は組合側のやる気の問題」。百貨店やスーパーなどの組合で作るサービス・流通連合(JSD)の八野正一会長は、非正規の
組織化についてこう語る。JSDは組合員約22万人の4割超がパートタイマー。「職場で多数派を占めるパート従業員の低待遇を
放置したままでは職場が回らない」(JSD加盟単組の幹部)という事情もあり、連合傘下では最も非正規の組織化が進んだ産別の
一つとされる。
しかし、産別によっては組織化はまったく進んでいない。「従業員は組合員になる」とするユニオンショップ制度を採用している
企業は全体の6割を占め、組合員の範囲は労組が決めることができる。つまり、組合の「やる気」があれば6割の企業では
組織化はできるはずだ。
組織化が進まない要因に、正規と非正規の間にある「壁」を指摘する意見がある。個人加盟を中心に非正規問題に
取り組んできた全国ユニオン(鴨桃代会長)は、今春闘で、獲得した賃上げ原資をすべて非正規に振り向ける提案をした。
しかし、ある産別幹部は「我が身を削るような要求には、相当組合員の反発があるだろう。まだ組合員の意識はそこまで
成熟していない」と話す。今春闘が言葉だけでない実を伴った「すべての労働者を含む春闘」になるのかどうかが問われている。
▽ソース:毎日新聞 (2010/03/06)
URLリンク(mainichi.jp)