10/03/07 13:30:57
金融機関のキャッシュカードで買い物ができるデビットカード(Jデビット)の
全国展開から、6日で丸10年を迎えた。銀行業界は当初、「クレジットカードに
とって代わる」と期待したものの、思うように広がっていない。巻き返しには
加盟店の拡大が不可欠だが、肝心の銀行は熱気が冷めている。
金融機関や加盟店が参加する「日本デビットカード推進協議会」は今月、Jデビットを
利用すると抽選で現金10万円などが当たるキャンペーンを実施。竹内一正・事務局長は
「知らない人も多いので、まず使ってもらって便利さを体感してほしい」と10周年を
機に認知度向上を狙う。
Jデビットは、銀行のシステムと加盟店の端末を結び、直接決済する仕組み。現在は
全国約1200の金融機関が参加する。クレジットカードのように入会時の審査が
不要で、入会金や会費も無料。引き出しや振込手数料がかからず買い物できる。
だが、利用は思うように拡大できていない。決済金額は2005年の8014億円を
ピークに減少に転じ、09年には7395億円に。年間約35兆円が決済される
クレジットカードには遠く及ばない。日本銀行のまとめでは、08年度には後発の
電子マネーにも決済金額で逆転を許した。
普及が進まない理由のひとつは、加盟店の少なさにある。クレジットカードの場合、
たとえばVISAブランドでは全国330万店で使えるのに、Jデビットが使えるのは
10分の1の約30万店。コンビニやスーパーでは、電子マネーの利用が急増している
のに、デビットは使えない店が多い。
もっとも、加盟店開拓を担う銀行の動きは鈍い。あるメガバンクの幹部は「10年前は
リテール(個人取引)戦略の柱の一つになる、という期待もあったが、今はなくなった」
と打ち明ける。メガバンクはこの10年、消費者金融やクレジットカード会社を傘下に
おさめる戦略を進めた。その結果、デビットへの思い入れは薄れた。
利用者にとっても、クレジットカードのようにポイントが付かないことなど、いま一つ
「お得感」が見えにくい。
竹内事務局長は、「デビットの特徴を生かしながら、クレジットや電子マネーとすみ分け
ていくことは可能だ」と話す。割賦販売法がクレジットの取引についての規制を強化した
ことが追い風になる可能性もあるが、デビット拡大の道は険しい。
●グラフ/Jデビットの取引件数と金額の推移
URLリンク(www.asahi.com)
◎日本デビットカード推進協議会
URLリンク(www.debitcard.gr.jp)
◎ソース
URLリンク(www.asahi.com)