10/03/07 01:52:42
国の出資金を原資とし、独立行政法人や公益法人が運営する基金のうち、バブル期に
新設、または出資金の積み増しが行われた「果実運用型」が10基金あり、出資総額は
1843億円にのぼることが6日、産経新聞の調べで分かった。運用型は出資金を
取り崩さず、預金利息などの運用益だけで事業を行うため、巨額の元手が必要だ。
低金利時代には極めて非効率とされ、専門家は「高金利に沸いたバブル期ならともかく、
現状の運用益はわずか。出資金も塩漬けで埋蔵金化しており、運用型の在り方自体の
見直しが必要だ」と指摘している。
産経新聞の調べによると、省庁が所管する独立行政法人や公益法人が持つ運用型基金の
うち、全額国庫返納や廃止が決まっていないのは計21で、出資総額は2937億円。
うち10基金がバブル期(昭和61年度~平成3年度)に新設、または積み増しが
行われた。総額は10基金で2245億円、22年度の一部国庫返納予定分を除いても
1843億円にのぼる。だが「低金利のため、昔ほどは運用益は出ていない」(吉野川
水源地域対策基金などを所管する国土交通省水源地域対策課)という。
文部科学省所管の独立行政法人「日本スポーツ振興センター」には、スポーツ振興基金
として、2年度に国が250億円を出資。同基金はスポーツ団体の指導者育成事業など
への補助を目的としたもので、年間5億~6億円程度の運用益で活動を行っている。
外務省所管の独立行政法人「国際交流基金」には昭和47年度、50億円が出資され、
バブル期の積み増しを含め総額は942億円にのぼる。来年度に342億円が国庫返納
される予定だが、まだ600億円が残る。
運用型基金は非効率な上、特にバブル期に出資があった基金はバブル経済ありきで、
過大な運用益を見込んだものともいわれる。問題の10基金は、まさにバブルの名残と
いえそうだ。
出井信夫・東北公益文科大学教授(公共経営論)の話「運用型は出資金が長期間、塩漬け
となり、一種の埋蔵金と化す。バブル期にはそれなりの運用益が見込めたのだろうが、
不況で低金利が続く中では非効率。ゼロ金利時代を生き残ったのは、チェックが働いて
いなかったということ。本当に存続させるべき基金かという点だけではなく、運用型と
いう基金の在り方自体も見直す必要がある」
【果実運用型基金】
原資に手を付けず、預金の利息のほか、国債や地方債の利子などの運用益「果実」を
使って事業を行う基金。原資が減らない一方、一定の運用益を捻出(ねんしゆつ)する
ためには巨額の資金が必要だ。基金にはほかにも、原資を取り崩す「取り崩し型」、
資金を貸し付け、回収して再び貸し付ける「回転型」、保有する基金を背景に債務保証
などを行う「保有型」がある。バブル崩壊後の地方自治体では運用型を取り崩すなど
柔軟に対応しているケースも多い。
◎ソース
URLリンク(sankei.jp.msn.com)