10/03/05 12:35:02
県内各地で中心市街地からスーパーが撤退する動きが相次いでいる。今年に入り、
すでに1店舗が閉店し、2店舗が閉店する方向となった。郊外の大型商業施設に
客足を奪われ苦戦していたところに、買い物客の節約志向の強まりが追い打ちを
かけた格好だ。交通の便がよい中心地のスーパーは、高齢者の利用が多い。
高齢化が進む中で新たな出店がなければ、「買い物難民」が増える懸念がある。
沼田市下之町の商業ビル「グリーンベル21」で営業しているエーコープ沼田店は、
5月末をメドに閉店する方針をビルの運営会社に打診した。同店は市の中心部にあり、
バス停が目の前という好立地にもかかわらず、営業不振に陥った。
最大の要因は、半径数キロ圏内の国道沿いなどに大型店が林立し、車で利用する
市民が増えたことだ。
同市高橋場町の主婦(81)は「ほとんど毎日、エーコープを利用し、生活用品を
頼っている。バスがくる直前まで中で待っていられるので便利。私のような年で、
他のスーパーに歩いていくのはつらい」と不安を隠さない。エーコープに車で来た
女性(55)は「閉店しても他の店に行けるが、車を運転できない人は困るだろう」
と複雑な表情をみせた。
消費不況で流通業者は激しい消耗戦を強いられている。全国の主要スーパーの既存店
売上高は、1月まで14か月連続で前年同月の実績を下回った。収益悪化を覚悟で
値引きに踏み切らざるを得ず、さらに業績が落ち込む悪循環に陥っている。
衣料販売ではユニクロの「一人勝ち」状態で、衣料が主力のキンカ堂は2月22日に
自己破産を申請。富岡店も閉鎖され、建物には地元資本の靴店などが残るのみとなった。
イトーヨーカ堂は2009年8月中間決算で1972年の株式上場以降、初めて営業
利益が赤字に転落。不採算店の閉鎖に踏み切り、8月にはJR前橋駅前の前橋店を
閉める方向だ。
閉店後のテナント誘致が課題だが、郊外に向かう人の流れを戻すのは難しい。インター
ネット通販の普及も、街からにぎわいを奪っている。前橋市が5月の原則第3日曜に
行っている通行量調査によると、同市千代田町のスズラン別館前の人通りは、09年
調査では1613人で08年調査より1168人も減った。1975年調査(2万
3660人)のわずか7%弱の水準だ。
前橋市では、07年にイトーヨーカドーと前橋駅を挟んだ反対側に開業した大型ショッ
ピングモール「けやきウォーク前橋」の存在感も増している。イトーヨーカドーが
入居するビルの所有企業は、食料品スーパーや衣料品店と交渉に入ったが、売り場
面積ではかなわないだけに、誘致の成否は予断を許さない。
※続く
●5月末での閉店が検討されているエーコープ沼田店が入る「グリーンベル21」
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