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仏プジョーとの資本提携破談、優先株めぐる三菱側の思惑外れる
三菱自動車工業と仏自動車大手のプジョー・シトロエン・グループ(PSA)は、
両社の資本提携について現時点で現実的でないと判断した。業務提携拡大に
ついては互いの意図を確認したとしているが、優先株の配当負担をめぐる
三菱側の思惑は外れたかたちとなった。
三菱自の益子修社長とプジョーのフィリップ・バラン会長が2日、欧州で開催中
のモーターショー会場で会談し、3日、共同声明を発表した。
三菱自とPSAの資本提携協議をめぐっては昨年12月、協議中であること
が判明。PSAが三菱自動車の第三者割当増資を引き受け筆頭株主となり、
議決権の3─5割を取得する案を軸に調整を進めていたが、仏紙が1月、
三菱自株の購入価格などをめぐって交渉が難航しているなどと伝えていた。
2004年以降の経営危機で三菱自は三菱東京UFJ銀行や三菱商事)、
三菱重工業など三菱グループから支援を受けた結果、グループ各社が総額
4000億円以上の優先株を保有しており、優先株の処遇が焦点となっている。
契約では2010年3月期から年間200億円の配当負担が三菱自に発生する
ため、三菱自の支払い能力に限界があるなかで、グループとしてもPSA側との
資本提携を後押しする狙いがあった。
しかし、PSAにとっては、三菱自の虎の子の電気自動車(EV)、「iMiEV
(アイミーブ)」に関連する技術を完全に取得出来ない限り、出資メリットは
少ないとみられていた。一方、時価総額が約7000億円の三菱自について
過半を出資するのは、PSAにとって高すぎるとみられ、出資交渉当初から
両社の思惑の違いが伝えられていた。
大手国内証券のアナリストは、三菱グループにとって破談は想定外だった
可能性がある、とした上で「切り札のアイミーブを自社で世界中で販売する
体制を持たない三菱自は、資本提携がなくともPSAと関係を維持し、販売など
を委託するのが自然」とみる。
05年に旧独ダイムラークライスラー(現ダイムラー)から一方的に出資
引き揚げと支援撤退を表明された三菱自は、三菱グループにとっていわば
「出戻り」企業。今回のPSAとの資本提携交渉は、なんとしても成功させたい
との声が多かったが、事実上振り出しに戻った格好。トヨタ自動車のリコール
(回収・無償修理)問題など国内自動車産業の行方が不透明ななかで、
三菱グループの今後の動向が注目される。
ソース:ロイター 2010年 03月 3日 17:27 JST
(日本語ニュース 竹本能文記者、平田紀之記者:編集 石田仁志)
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