10/02/09 10:27:49
ソースはDIAMONDonline (文/ジャーナリスト、ポール・アイゼンスタイン Paul Eisenstein)
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企業の長期的なイメージや株価に与える影響の大きさという点で、トヨタ自動車が現在抱えている
安全性の問題に比肩する例は容易に思い出せない。
短期的であれ、かつての高い評判に深刻なダメージが生じるのはまず確実であり、
ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、ヒュンダイ(現代自動車)といった競合他社は、
何とかこの隙に乗じようと躍起になっている。
米国では何事につけてよく「スコアボードなしに野球の結果は分からない」と言うが、この問題も同じだ。
相当な期間を経なければ、世界最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車を襲っている今回の問題の
すべてを把握することは容易ではないだろう。
経緯を振り返れば、この問題が広く米国社会一般に“可視化”されたのは、昨年11月25日のことだと思う。
「アクセルペダルが戻らなくなりクルマが急に暴走してしまう」という“疑い”を解消するため、
トヨタは(8車種・約420万台を対象に)ペダル無償交換などの改修に応じると発表した。
むろん、それ以前にも多くのメディアでその”疑い”が盛んに報道されていたが、米国の一般市民の多くには
それまで他人事だったろう。
その当時“リコール”ではなく“自主的な無償改修”の経営判断を下したその是非を今ここで問う気はないが、
問題はその後トヨタが世間に広がる疑いを半ば追認するような形で事態がじわじわと深刻化していった
ことだった。
2ヵ月後の1月21日には、ペダルの戻り方に問題があるとして8車種・約257万台を対象にリコールを発表。
さらにリコール対象車種の販売・生産を一時停止すると発表した。
米国トヨタ自動車販売のジム・レンツ社長はその後、顧客を安心させようと「問題はすでに特定され
(中略)可能な限り迅速にこの解決策を実行に移す」と米国内の放送メディアで繰り返したが、
小出しにされる情報の中で不安を抱くなと言われても、多くの米国民には受け入れがたいのは当然だ。
複数の識者が、トヨタの対応は「Too little, Too late(不十分で遅すぎる)」であると警鐘を鳴らしたのも
うなづける。筆者もそこに米国民の不信感が増幅された最大の理由があると思う。
10年前、やはり大きな話題となった、ファイアストン社製タイヤを装着したフォード製SUV
「エクスプローラー」のリコール問題に関わった企業幹部も、匿名を条件に、「(トヨタは)時間を
かけすぎた」と語った。
当時、多くの識者は、この安全性絡みのリコール問題によって、フォードとファイアストンの両社が
破綻してしまうのではないかと懸念した。その理由の一端は、当初、両社が責任のなすりつけ合いに
終始し、なかなか消費者の不安に十分に対応しようとしなかったことにある。
-続きます-