10/02/08 00:39:18
>>1の続きです。
確かに、日本が抱えている問題には、日本政府の力だけではどうにもならないものもある。特に米国の
量的緩和策によって円の為替レートが上昇し続けたことは、デフレ圧力を高める一因となった。90年代の
金融バブル崩壊後も唯一明るい材料であった輸出がまた持ち直しつつある。だが米国経済の回復はまだ
確実なものとなっておらず、中国も景気引き締めに動いていることを踏まえると、この状況も長くは
続かないかもしれない。
デフレの主たる原因はもっと身近なところにある。物価がエネルギー価格を除いても下落しているという
事実は、円高による輸入品価格の下落だけが、デフレ要因ではないことを物語っている。日銀自体は
過去の引き締め策を批判されているとはいえ、デフレに対する白川総裁の見方は基本的に正しいといえる。
日銀は当面、政策金利を0.1%で維持すると見込まれており、12月初めには政府の期待が強まるなかで
追加的な金融緩和強化策に踏み切っている。だが企業と消費者が、不況の長期化を見込んでいる限り、
消費も、資金が投資にまわることもなく、経済成長が加速することはないだろう。
日本経済に必要なのは、一時しのぎの景気対策をつぎつぎと打ち出すことではない。日本経済を眠りから
覚ます本当の意味での刺激策だ。企業に対する減税や規制緩和は、中期的成長を促すだけでなく、やっと
景気を回復軌道に乗せる方法を知る政権が現れたという印象を与えることができる。とうとう政府が景気回復に
本腰を入れ始めたと企業が考えるようになれば、短期的には、金融緩和策を多少支援することができるかもしれない。
いまのところ鳩山首相はその種の景気刺激策は実施しておらず、むしろ野党自民党が政権の座に
あったころの巨額の財政支出と債務を抱える体質に戻りつつある。現在のデフレは、日本経済が同じことの
繰り返しにうんざりしていることの証だ。鳩山首相が今すぐ思い切った手段に打って出なければ、日本経済は
さらに深い闇へと沈んでいくことになるだろう。
-以上です-