10/02/04 20:42:37
不動産に株式、融資。中国は間違いなくバブルを抱えている。しかし奇妙なことに、
中でも最も巨大なバブルにほとんど関心が払われていない。
中国の外貨準備高は2009年に、ノルウェーの国内総生産(GDP)を上回る規模の
増加をみせた。中国の2兆4000億ドル(約218兆円)の外貨準備はそれ自体がバブルで、
拡大が続いている。この「外貨準備バブル」とでもいうべきバブルは実際のところ、
アジア全域に広がる現象となっている。この金融面での「軍拡」を、強さの源と考える
ことはやめるべきだ。政府当局者の公式発言以上に、この問題が急速に深刻化している
理由は3つある。
第一に、それは巨大で、拡大を続けるねずみ講だ。この問題は、財政危機に直面している
ギリシャが中国に救済を要請しているといった観測が市場に広がるところまで、不条理が
進む新局面に至っている。結局のところ、国や地域がもし身売りという事態になれば、
中国は昨年積み上げた外貨準備(4530億ドル)でギリシャとベトナムを買って、さらに
モンゴルを取得する余裕があるのだ。
国際通貨基金(IMF)の当局者が、最近何を考えているか想像してみる必要がある。
IMFの支援パッケージには、「自国経済を秩序立ったものにせよ」などといった
厄介な注文が付く傾向にある。中国による支援であれば、資源があるかどうかと
地政学的視点からの審査だけで済むだろう。中国が米モルガン・スタンレーなど
ウォール街の大手金融機関に命綱を投げるのを、われわれはすでに目の当たりにしている。
国家丸ごと救済が次のステップのように思える。
■自作自演
中国の巨額の外貨準備が世界に与える影響力は日ごと高まりつつある。厄介なのは、
中国が自作自演のわなにはまっていることだ。中国をはじめアジアの国・地域は米国債を
買い続けており、大幅な損失を計上することなく、投資を引き揚げることがさらに困難に
なってきている。そのため、アジア諸国は米国債を買い増し続けている。
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)のアナリスト、デービッド
・シモンズ氏(ロンドン在勤)は「比類のない大規模な外貨準備であり、行き場がない」
と語る。
中国は外貨準備の運用先を米国債から、ほかの資産や商品へと分散することを目指している。
この巨万の富を十分に吸収できるほど懐の深い市場は一体どこかが問題だ。金、原油、
ユーロ圏の債券か。はたまた、マドフ一族の新たなねずみ講か。
■悲劇的結末
中国がしようとしていることは、一台のフォルクスワーゲンにエアバスの超大型旅客機
「A380」をねじ込もうとするようなものだ。すべてのねずみ講と同様、終わりは容易に
見えず、その結末は悲劇的なものとなりかねない。ドル相場が崩壊すれば、損失を最小限
に抑えようとする各国中銀による米国債のろうばい売りで、今回の米国発の信用危機以上に
世界の金融市場は動揺するだろう。
※続く
◎ソース
URLリンク(www.bloomberg.co.jp)