10/01/27 22:09:22
キリンホールディングスとサントリーホールディングスによる経営統合交渉に
暗雲がたれこめている。焦点の統合比率について両社間の隔たりが大きく、
歩み寄りの見通しが立たないためだ。目標だった今月中の基本合意は消え、
交渉自体が白紙還元されかねないとの見方も出てきた。
◆火種は創業家
両社の統合交渉が本格化したのは昨年11月。統合比率でキリン側は金融機関が行った
資産などの査定結果を基準に、キリン1対サントリー0・5程度とする案を提示。
これにサントリー側が強く反発した。「ブランド力や海外事業の成長性が考慮されず
『対等の精神』というトップ間合意を無視している」(幹部)と、統合断念すら
示唆する姿勢に転じた。
サントリーがこだわるのは、株式未公開企業である同社株の約9割を保有する創業家の
資産管理会社が、統合会社の3分の1以上の株式を持つこと。「やってみなはれ」に
代表される自由な社風、多様な文化・社会貢献活動など、数字で表せない要素への
自負が強い。創業家が新会社の重要決定事項に拒否権を保持し続けるため
「1対0・8前後の比率がギリギリの線」(関係者)というわけだ。
◆2月中旬期限?
上場会社のキリン側にも制約がある。加藤壹康社長は昨年7月の統合交渉入り発表後、
「統合は対等の精神で」と強調したが、サントリー創業家株の扱いでどこまで合意して
いたかは不明。金融機関や同じ旧三菱グループ企業には「上場会社の34%の株を
創業家が持てば意思決定が不透明になる」との声や「金融機関が査定した統合比率の
幅を超えて譲歩すれば、既存のキリン株主による株主代表訴訟が起きかねない」との
指摘がある。
キリンは3月末に株主総会を控え、遅くとも招集通知を発送する2月中旬までに合意に
こぎつけたい意向。三菱グループには、サントリー側が持ち株比率で譲歩する一方、
社長ポストを一定期間、サントリーの佐治信忠社長に委ねる案などが取りざたされて
いるが、両社が歩み寄る気配は今のところない。
◆統合前提とせず
昨年7月の統合交渉入り公表後、両社が統合を前提としないようなM&A(企業の
合併・買収)などを続けていることに違和感を持つ関係者も多い。キリンは26日、
健康食品事業で新ブランド育成に取り組むと発表したが、同分野はサントリーが
数多くのヒット商品を持つ。サントリーによる仏清涼飲料会社の買収やキリンの国内
工場閉鎖なども、両社間で事前の調整がなかったことを加藤、佐治両社長とも強調して
おり「最終合意まで統合を前提とせず競争を続ける」との立場だ。
◆経営統合交渉入り発表後の両社の動き◆
<キリン>
09年10月 豪ビール会社ライオンネイサン完全子会社化
同 中期経営計画で国内2工場の閉鎖を発表
12月 中国の飲料合弁会社の出資比率引き上げ
同 フィリピンの子会社サンミゲルビールが中国、ベトナムなどに工場を持つビール会社買収
<サントリー>
7月 ニチレイのアセロラ飲料事業を買収
11月 仏清涼飲料メーカー、オレンジーナ・シュウェップスグループを3000億円強で買収
12月 中国のワイン輸入販売会社を買収
10年1月 米ペプシコと中国での販売委託契約に調印
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