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今の団塊ジュニア(1971~74年生まれ)とそのすぐ下の世代(75~79年生まれ)は、ビジ
ネス本や自己啓発本をよく読んでいる。ところがさらに下の年代になると、実践から学ぼうと
するらしく、安易なガイド本には手を出さない。
今の30代は自分の能力を伸ばしたいとか、自分には違う道があるのではと考えて自己啓発書
を読むのだろう。
しかし、自己啓発本を読んでも何の役にも立たないのではないか。本を読むのなら、もっと
ましな本を読めと言いたい。
人材というのは当たり年がある。ITで言えば55年で、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、
サン・マイクロシステムズを創業したアンディ・ベクトルシャイム、ビノッド・コースラも
そうだ。
ITでは55年生まれじゃないと生き残れないという笑い話があるくらいで、この年代に有能な
人材が集中している。
特別の才能を持った人たちはなぜか年代的に固まる傾向がある。これは理屈では説明でき
ないが、芸能でもスポーツでも当てはまる。私の見るところ、ビジネスでもほかの分野でも、
30代の連中にはあまり人材がいない。
ITビジネスで成功した人たちの特徴は何か。それはノウハウであるとか他人がどうするかと
いったことに興味がなく、人と同じことはしないことだ。人の意見なんか聞かず、自分が絶対
やり抜くと決めたらやり抜いてしまう。
■有能な若者が社会起業家に走る
その点、今の30代は「次はどんな仕事をしたら自分の能力を伸ばせますか」と、皆が同じ
ようなことを言っている。自己啓発の延長なのか、いまだに勉強モードでキャリアアップが
頭から離れないようだ。
そもそも仕事は自分の能力を伸ばすためにするのではない。全力で取り組んで結果を出す
ものだ。そこを勘違いしている。
世界不況でカネも凍りつき、ベンチャーには資金が回ってこなくなった。新興市場がこれ
だけ低迷していると、どんなに有能な経営者でもベンチャーを上場させることは難しい。
一人の力ではいかんともしがたい。だから目端の利く30代が金儲けを目指さず、社会起業家に
なるというのは理解できる。
それは社会意識が高いというよりは、ほかにエネルギーの行き場がないということでないか。
つまり経済環境がそうさせているのだ。
もし仮に景気がよければ、社会起業家にはならず、今も外資系金融やベンチャーに在籍して
いるはず。本人たちは、社会起業家としての社会的意義や使命について何ら疑うところはない
し、心の底からそれを信じているのだろうが、私に言わせれば経済で先行きが見えないから、
別の方面に関心が向かっているだけなのだ。
私の周りの30代でも、組織を飛び出したのがいる。でもそれは官庁や民間企業で自分の腕が
振るえないから、新たな場所を求めただけ。もし霞が関が元気なら、今頃バリバリと役所で
働いているはずだ。
なるけ・まこと
1955年生まれ。中央大学卒。86年マイクロソフト入社、91~2000年社長。投資コンサルの
インスパイアを設立、現在は取締役ファウンダー。
ソース
URLリンク(zasshi.news.yahoo.co.jp)