10/01/15 22:51:22
いよいよ大学入試センター試験が始まる。就職難が深刻化する時代、なんとしてもわが子
を大学へ行かせたい、という親は多いはずだ。
だがもし、「博士課程に進みたいんだけど……」と子どもが言い出したとしたら、どうだろう。
“高学歴ワーキングプア”が急増中だ。最高学歴を獲得した人々が、生活保護受給者や無保険
者になっていく―。この奇妙な逆転現象の発端は、20年前に国が始めた“官製資格ビジネス”
構想にあった。
大学崩壊の実情を現場に聞いてみた。
■実験結果の捏造を断れば―
「じつは今、教授から不正を強要されているんです……」
それは、若手研究者が集まるある会合でのこと。博士研究員のひとりが打ち明けた話の内容
は驚くべきものだった。
彼が加わっていた研究プロジェクトは暗礁に乗り上げようとしていた。予想を裏切り、思った
ような実験結果が出てこないのだ。そこで上司である教授はこう指示したという。『君、
データを少しいじってくれないか』。
「つまり、実験結果を捏造しろと。もちろん、研究者としてはそんなことをしたくない。
でも、断れば仕事を失ってしまいます」
博士研究員、別称“ポスドク”。大学院博士課程を修了後、正規の就職先がないために、
任期制で大学や研究機関に非正規雇用された研究者のことだ。いわばアカデミズムの世界に
おけるパートタイマーである。
立場の弱い彼らが教授の命令にそむけば、次のプロジェクトのポストは与えられないだろう。
とはいえ、一度捏造に手を染めてしまえば、いつか発覚されるのでは、と脅えながら研究
生活を送らねばならない。
■“パート先生”の年収は15万円
毎年約1万6000人ずつ輩出されるという博士課程修了者。2009年の就職者は約1万人と就職率
はわずか64%だ。「博士課程修了者は専門性ばかり高く、フレキシビリティーに欠けている」
と、敬遠する企業が少なくない。
それにしても、ポスドクの給与は低い。月に20万円ももらえればいい方だ。任期制のため、
関わっているプロジェクトが終わればお払い箱になる。
しかも研究テーマを自分で選べるわけでもなく、次々に違うテーマを追うのでキャリアに
結びつかないケースが多い。結果的に30代、40代になっても、低収入のままいろいろなプロ
ジェクトを渡り歩くことになる。その姿は、あちこちの工場を転々とする製造業派遣社員
とも重なる。
ソース:ダイヤモンドオンライン
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