10/01/14 01:13:16
日本航空(JAL)は、企業再生支援機構による監督の下、会社更生法適用による法的整理となることが
確実視されています。JALに多額の融資をしてきた銀行団は、あくまで私的整理を主張してきたようですが、
公的資金を投入せざるを得ない状況だけに、政府は法的整理によって責任を明確化することを決断したようです。
JALの法的整理については、立場によって賛否が分かれるようです。銀行団とすれば、JALの経営悪化の
背景には、政府・与党がJALに不採算路線の運行を強いてきた、という思いがあるでしょうし、JALの
株主とすれば、政府主導による法的整理で資産が強制的にゼロにされる悔しさもあるでしょう。
ただ、いろいろと思いがあるのは理解できますが、8千億円超ともいえる債務超過額を抱えている企業が、
法的整理を回避するのは難しいのが現実です。痛みの少ない私的整理にて再建したいのであれば、再建後の
収益性が高いことが必須となりますが、世界的に競争が激しい航空業界だけに、それも期待できません。
ここで指摘されるまでもなく、JALの法的整理は、ロジカルには至極当然のことだったと思われます。
JALの法的整理が話題になっていた本日(2010年1月12日)、ベスト電器が、傘下の家電量販店「さくらや」を
2010年2月末に清算すると発表しました。さくらや、といえば、かつてはヨドバシカメラ、ビックカメラと並んで
「3カメ」と呼ばれる家電量販店でした。しかし、さくらやは、業績低迷が続き、2006年12月にベスト電器から
出資を受け、2008年3月には完全子会社化されました。しかしベスト電器は、さくらやに再建の目処が
たたないとして撤退と清算を決めています。
報道によると、さくらやの撤退および清算に伴い、ベスト電器は、195億円の特別損失を計上するようです。
これにより2010年2月期は、45億3000万円の営業赤字、302億円の純損失を見込んでいます。
売上高3,500億円弱のベスト電器にとって、300億円を超える純損失は相当の負担です。それでも、さくらやの
清算を決めたのは、(いろいろと議論・苦悩はあったにせよ)損失拡大を防ぐべく、企業経営として当然のことを
するためです。
JALの話に戻ります。JALがこのような結果になってしまったのは、JALという巨大な半官半民会社が、
従業員、株主、債権者、政府、そして「元」従業員、という様々な関係者を巻き込んだ存在だからでしょう。しかし、
だからこそ、誰もが当然のことを決めることができず、8千億円超の債務超過、そして、1兆円ともいわれる
公的資金の投入という結果になりました。
何も決められない企業の業績が、自然と改善することは、今の日本においては無理なことです。今の
日本社会の様子をみると、関係者が数多く存在するために、何も決められず多額の損失を計上する例は、
JALが最後ではない気がして仕方ありません。
▽ソース:Klug (2010/01/12)
URLリンク(www.gci-klug.jp)