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>>1の続き
■ピークの60分の1になった株価
こうした資金調達は財務体質の強化とともに、「新事業への投資」と説明されていた。
しかし、「USEN」の株価は反発するどころか、下げ続ける。
大型資金調達をした翌年(2008年)の1月には500円を割り込む局面もあり、リーマン
・ショック後には一時200円さえも割り込んだ。株価はなおも下げ、2009年暮れから
年初にかけては50円前後で推移するというありさまだ。最高値3820円(2006年1月16日)
の60分の1以下となっている。
まな板の上の鯉。宇野の心境は、まさにこうなのではないだろうか。
昨年秋口から宇野は何度となく「USEN」本社がある東京・六本木の「ミッドタウン」
から目と鼻の先にある「六本木ヒルズ森タワー」の足を運んでいる。宇野を呼び出した
のは株式を含め400億円余りを投資し、「USEN」の生殺与奪の権を握るGS社長、持田昌典。
GS側が宇野に示した選択肢は2つ。
GSが仲介する投資ファンド「MBKパートナーズ」からおよそ200億円の投資を仰ぐ。
そしてもう1つが、やはり投資ファンド「ユニゾン・キャピタル」と光通信連合から
150億円余りの出資を受け入れること。
当初、宇野は後者の「ユニゾン・光通信」連合を希望しているとされていた。しかし、
出資者側の最低条件は、「USEN」が抱える1400億円余りの債務を半分程度に圧縮する
こと、そして宇野の退陣であった。
■二転三転する金融機関の方針
宇野は投資ファンド側の条件の中で退陣は受け入れ難いと抵抗していたが、GS側の、
というよりも持田の強硬な姿勢の前にやむなく退陣を決意し、GSが主導の「MBKパート
ナーズ」からの出資を受け入れる方向は話しがまとまりかけていた。
ところが、今度はGS側の態度が急変。GSそのものが「USEN」の経営を手がけるという
方向に方針が転換した。
その背景は、まだ人員的に大幅なリストラの余地が残されていること。また、傘下に
11社を抱える事業自体も、カラオケ機器の開発、販売、カラオケルームの運営などを
行う「BMB」、人材派遣「インテリジェンス」などを残し、ほかを整理すれば、十分に
企業として存続できるめどが立ったことなどもある。
GS側の対応の変化はやはり「USEN」に債権を持つ金融機関の態度にも変化をもたらす。
ことにシンジケートローンで中心となった三井住友銀行は、当初、GS案への同調姿勢
だったのだが、ここにきて態度を硬化させているようだ。
担当役員などは、「企業再生支援機構に行ってもらった方がいいんじゃないか」など
とも発言。また、今まで債務の返済計画について強行ではなかったのが一転し、
さらに厳密な計画案の提出を求めたりもしているようだ。
GS、三井住友銀行など金融機関の二転三転する方針を前に、まな板の上に乗せられた鯉、
宇野は悶々とするばかりだ。
最近では周辺が危ぶむほど、酒を飲む量が増えているという。現実逃避なのだろうか、
宇野は我を忘れるほど、泥酔することも珍しくなくなっていると伝えられる。
※続く