10/01/04 22:39:50
一部のヘッジファンドは、今後日本にとって厳しい状況が続くことに賭け始めている。
これらの投資会社の中には、ここ数年間リスクの高い住宅ローンや金融機関への投資で
収益を上げてきたところもあるが、彼らは日本の金融システムの先行きには暗雲が立ち
込めているとみている。日本政府の借金は引き続き拡大するなかで、日本国債に対する
需要が減少する可能性があると考えている。
米テキサス州ダラスにあるヘッジファンド、ヘイマン・アドバイザーズのカイル・
バース氏は、「(日本の国債価格の暴落は)必ず起きる。問題はいつ起こるかだ」と
語った。同氏は起こる方に賭けている。バース氏やグリーンライト・キャピタルのデー
ビッド・アインホーン氏やペレラ・ワインバーグ・パートナーズのダニエル・アーベス氏
などは、日本国債市場が破綻(はたん)した場合に利益が出る様々な投資商品を購入
している。
世界金融危機の後遺症で悪化する各国政府の財政状況に対する懸念が高まるなか、
ここ数カ月でギリシャやアイルランドなど各国の国債価格の下落に賭ける投資に注目が
集まった。
しかし、日本国債の価格下落懸念は他国と比べ一段と深刻な問題だ。日本国債の市場
規模は694兆3000億円であり、世界経済における日本の果たす役割が大きいからだ。
日本の財務省はこの件に関するコメントを控えた。
しかし、全ての投資家がそのような懸念を抱いているわけではない。まず、日本国債の
価格下落に賭ける投資は、これまで長らく利益が出ず、投資家には大きな損失をもたら
した。日本の抱える問題は深刻だと確信している投資家ですらリスクのヘッジを行って
いる。バース氏は、6億5000万ドル(約590億円)のファンドのうちわずか一部分だけを
日本国債を弱気にみた投資に振り向けているにとどまっている。
増大する政府債務や、国債需要は減退するという長年の予想にもかかわらず、国債
市場は何とか持ちこたえてきた。それは、銀行や年金基金、保険会社など国内の金融
機関がほぼ全ての国債を買い続けてきたからだ。
それによって国債利回りは低く維持されてきた。長期金利(国債10年物利回り)は
10年以上2%を超えたことがない。また、外国人投資家ではなく国内の投資家の存在が
大きいことから、国債市場から大幅な撤退が起こる可能性も低い。
しかし、弱気筋は日本の国債市場の破綻に備えて賭けるだけの理由があるとみている。
国際通貨基金(IMF)は、日本の公的債務の対GDP(国内総生産)比率は今年219%
に達すると予想しており、1998年の120%から大幅な上昇となる。諸外国と比べても、
米国は85%、英国は69%で、大きな差がある。政府資産を除いた日本の純債務残高も
高く、IMFはGDP比105%としている。米国の場合は58%だ。
日本の高齢化の進展に伴いより多くの人が定年を向かえることで貯蓄率が下がり、
従来の投資家の買いが鈍り、ついには売り手にまわるのではないかとみる向きもある。
世界最大規模を誇る年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、来年には国債
投資が売り越しになる可能性があるとの見方を示した。GPIF運用資産の約4分の3は
国債に投資されている。
ソース:ウォール・ストリート・ジャーナル 日本版
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