09/12/19 13:48:38
「泥棒に追い銭」─。11月26日、事業仕分けでの仕分け人の発言に、その様子を
インターネット中継で“目撃”したガソリンスタンド関係者らは「ほかに言い方がある
だろう」と口を揃える。
仕分けの対象は、土壌汚染を起こさないよう、古くなった地下タンクの油漏れを防ぐ
工事費を補助する事業である。経済産業省によると、タンクの入れ替え工事には1500万円
はかかるとされ、中小スタンド業者にはその負担が重い。2003年に助成制度を開始すると、
年間1000件程度の利用があった。今年度は10月で予算を使い切るほど申請が殺到した。
来年度も経産省が52億円の予算要求をしていた。
だが、仕分けの結果は廃止。その席上で仕分け人が言う。
「犯罪をする人に犯罪をやめてくれたらおカネを出す構図。規制を強化すべきだ」
これに反発したのが、約2万のスタンド関係者から成る全国石油商業組合連合会(全石
連)だ。今月2日には早速、政府へ要望書を提出し、補助金の継続を求めた。
全石連の主張はこうだ。ガソリン税など多いときには5兆5000億円もの徴税を担った。
代々続く地元の名士も多く、地域の商工会や防災活動でリーダーの役目も果たした。
長年、日本の財政や地域経済を支えたという自負があった。それが「犯罪者扱い。全人格
を否定された」(業界関係者)のだ。
もっとも、この事業、老朽化した地下タンクを抱え、店をやめるにやめられなかった
スタンドの廃業を後押しする面もある。石油業界の中にも「あの補助金は筋が悪い。
葬式代だ」と言う関係者がいる。これまで助成が続いた背景には、業界が自民党の支持
基盤だった事情がある。
自由化の波やガソリン需要の減少で廃業が相次ぎ、政権交代で力をそがれた業界は、
焦燥感を募らせ、「命をかけて民主党支持」と鞍替えした。その矢先の“冷や水”である。
まさに“怒り心頭”の心中だろう。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)
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