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あのリーマン・ショックから1年3か月。世界経済は不況との戦いに苦しみながらも、
徐々に復旧への道を歩んでいる。だが各国経済の回復テンポには明らかな格差が
生じてきた。日本のテンポは残念ながら遅い。
各国の経済状況に差があることは事実だ。政治情勢や経済の発展段階、資源や
エネルギー需給、さらには国民性などなど。それによって回復のテンポは違ってくる。
しかし、この1年3か月の歩みを観察すると、政府や中央銀行による対応の早さも
大きな要因になったという感じが強い。
■素早い政府対応で立ち直った中国
いち早く回復に成功したのは中国であろう。不況の影響でことし1-3月期には、
成長率が6.1%にまで低下した。しかし7-9月期には8.7%に回復。たとえば
自動車産業は、ことしの国内生産、販売がともに1300万台を突破して世界一の
自動車王国になる勢いだ。
素早い立ち直りの原因は、中国当局の間髪を入れない対応の早さにあった。リーマン
破綻の翌日には最初の利下げ。財政面からも昨年11月9日、リーマンから54日目には
総額4兆元(約57兆円)の対策が実行に移された。
中国経済は発展途上にあってインフラ投資の効率が高いから、立ち直りが早かった。
たしかにその通りだが、その利点も政府の素早い対応がなければ活かせなかったろう。
一党独裁だから、巨額の財政支出を簡単に決めることができた。これも確かである。
だが議会制民主主義の国でも、対応がそれなりに早かった例はいくらもある。
たとえばアメリカ。オバマ大統領はことし1月8日に、大規模な経済対策の実施を発表。
2月17日には、2年間で総額7870億ドルの景気対策法を成立させた。
ドイツは昨年11月5日に500億ユーロの対策を発表。さらにことし1月13日には
500億ユーロの追加対策を決定し、減税や自動車購入補助を実現した。議会も素早く
法案を成立させている。
■悠長すぎる3月の2次補正予算執行
これらの例に対して、日本の場合はどうだったろう。自民党の麻生前内閣が景気対策と
して総額14兆7000億円の補正予算案を国会に提出したのが4月27日。成立が
5月29日。中国は別としても、アメリカやドイツより3か月以上遅れている。
しかも政権交代した民主党の内閣が、この補正予算を3兆円削減してしまった。その後、
鳩山内閣はドバイ・ショックや円高の進行に驚いて、慌てて第2次補正予算を組む。
総額は7兆2000億円。12月15日にやっと閣議決定した。
この2次補正は来年の通常国会で審議されるから、実際の執行はどんなに早くても3月
になる。欧米の主要国に比べて、まことに悠長な対応だと言わざるをえない。
もう一つ注意を喚起したい点は、リーマン・ショックから1年3か月たったというのに、
日本の景気対策はいまだに1次補正の11兆8000億円しか実行に移されていないと
いう事実である。これでは景気の回復を期待する方がムリというものだ。
景気対策の内容にも問題はあるが、この政治のスローモーションぶりが日本の経済を
ダメにしている。与党も野党もこの事実を認識し、大いに反省してもらいたい。
◎ソース
URLリンク(allatanys.jp)