09/12/10 02:09:17
(前略)さてさて、事業仕分けが行われて、いろんな事業の予算が削減されているようですけど、
どんな事業でもよほどの有用性が説明できなければ、だいたい予算削減になるんですよね。
んで、スパコン(※1)の予算も削減という話なんですけど、なぜか「技術立国日本が危ない」みたいな話にすり替わっているんですよね。
日本は世界1位のスパコン(※2)とかなくても、「地球シミュレータ」(※3)という計算処理速度が世界22位のスパコンで
研究開発をずっと行えてきたわけです。んで、「研究成果を出すために、スパコンが必要」という話があるのですが、
スパコンを使って導き出した計算結果ってのは日本製でも外国製でも、まったく同じなわけで、
研究成果を出すために計算機が必要なのであれば、その研究に予算をつけて、必要な計算機を海外で調達すればいいと思うんですよね。
もちろん、日本でスパコンを作ったほうが安ければ日本のメーカーから買えばいいわけです。
「日本の研究は日本の製品でやらねばならん!」みたいな感情論もあると思うんですけど、
研究者のほぼ全員がパソコンを使っているのに、そのパソコンの中身は中国製や台湾製だったりするのだから、
日本製の製品だけで研究結果を出すというのはまず無理なのですね。
富士通が自社でCPUを作ったりして、日本製スパコンのために頑張っているみたいですけど、アメリカにある世界1位のスパコンは、
秋葉原でも売られている10万円ぐらいのCPUを大量に使って作られているのですね。つまり性能を上げたければ、
もうちょっといいCPUを載かえるだけでよくて、わざわざ税金を費やしてCPUを作らなくてもいいわけですよ。
ってことで、スパコンで勝負しても勝ち目がないのはわかっているので、お金をかけるのであれば、
SETI(※4)のような分散コンピューティングシステムを研究するとか、Googleみたいなクラスタリングの技術(※5)とか、
他の方面で勝負したほうがいいと思うんですけどねぇ。
※1「スパコン」…スーパーコンピュータの略。簡単に言うと、すごい計算処理速度を持ったパソコン
※2「世界1位のスパコン」…09年11月25日現在、米国Cray社が発表した「Jaguar」が最速で、浮動小数点演算は毎秒1000兆回
※3「地球シミュレータ」…海洋研究開発機構にある日本最速のスパコンで、地殻変動や温暖化など、
地球のシミュレーションをしている。年間の電気代は約5億円で、年間維持費は約50億円
※4「SETI」…地球外文明探査に活用しようという科学的実験で、インターネットに繋がっている世界中のPCの余った力を利用する計画
※5「クラスタリングの技術」…複数のコンピュータを接続し、全体を一台として認識させる技術
▼ソース
「週刊SPA!」09年12月8日号 西村博之氏連載コラム「ネット炎上観察記」より書き起こし(脚注含む)
URLリンク(spa.fusosha.co.jp)
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