09/12/04 23:41:32
猪瀬直樹の「眼からウロコ」
介護の世界に未来を確信している辻川泰史さんの事例
11月7日夜の対談番組「東京からはじめよう」(MXテレビ)に、株式会社はっぴーライフ代表取締役社長の
辻川泰史さんをゲストとして招いた。介護現場の給与水準は低いといわれるが、31歳の辻川さんは多い人には
月40万円を払っている。介護業界の未来を拓く希望の光である。
売り上げ概念とコスト意識を持ち込めばやっていける
辻川さんと出会ったのは、10月23日の「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系列)だった。そこで辻川さんから
月40万円の給与が可能だという話を聞いた。興味を持った僕は、辻川さんの著書『福祉の仕事を人生に活かす!』
(中央法規)を読み、「東京からはじめよう」で詳しい話を聞いた。
高校3年のときからボランティアを始めた辻川さんは、福祉業界に進むことを志して介護の専門学校を卒業。
老人ホーム、在宅介護会社で介護士として働いた。そこで感じたのが、「手取り20万円前後で、これで結婚して
子どもができたら、やっていけるんだろうか」という疑問だった。 「売り上げ概念とコスト意識を持ち込めば、
30万円、40万円の給料も可能なのではないか。そうすれば、安定した生活を得て、一生その仕事を続けることができる」
と考えた辻川さんは、2002年に25歳の若さで訪問介護やデイサービスを手がける会社を設立した。起業して半年くらいで
損益分岐点に達し、経営は軌道に乗った。現在の年商は2億円弱である。多い人には月40万円の給与を支払えるまでに
なった。介護業界で充分な給与が払えることを、自分で証明したのである。
お客さんさえつけば、安定した経営ができる
介護業界は、社会福祉法人、NPO(非営利組織)、民間企業が混在している。辻川さんは「擬似市場」という
言い方をしていた。
社会福祉法人の場合は、一定の地域に置かれる法人数が決められているので、顧客の獲得が比較的容易である。
また、他の介護施設、福祉施設と併設されていることも多く、顧客を呼び込みやすい流れができている。民間企業は、
みずから宣伝していかないと、顧客が獲得できない。
社会福祉法人には、売り上げ概念やコスト意識がない。こういうサービスを、いかにわかりやすく販売していくか、
という視点が足りなかった。説明しないということは、「カイゼン」がなくなる。社会福祉法人で働いている人は、
福祉の理念にすごく真面目で熱心な人が多いけれども、一方で、自分の仕事を顧客の目線で見つめる契機がなかった。
民間企業は利益拡大の意欲があるから、コスト意識も強い。社会福祉法人よりもコスト削減が進んで、職員の給与に
還元することができる。
(>>2へ続きます)
ソース:日経BPネット [09/12/01]
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