09/12/02 22:37:11
景気の二番底が懸念される中で、雇用を取り巻く環境は一段と厳しさを増している。
来春卒業予定で就職が決まっていない学生は16万人。「ロストジェネレーション」を
再び出さないためにも、早急な対策が必要だ。
2009年7~9月期はGDP(国内総生産)が4~6月期に比べて年率4.8%上昇(速報値)
した。だが、雇用を取り巻く環境に回復の兆しは見えてこない。景気が回復すれば、
雇用は回復する。そんな時代はもう来ないのかもしれない。なぜなら、日本の会社には、
それだけの雇用を支える仕事量と余裕がなくなってきているからだ。
■「誰でもいいから欲しい」終焉
厚生労働省の調査によると、来春卒業予定の大学生の就職内定率は、10月1日時点で
62.5%と昨年の同じ時期に比べて7.4ポイント低下。3人に1人の就職先が決まっていない
ことになる。
ところが、リクルートワークス研究所が調べた大卒者の求人倍率は1.62倍。求職者を
求人が上回る状況が続いている。求人倍率が1を切った2000年3月卒業生の採用時でも、
同じ時期の内定率は63.6%と、今年よりわずかながらも高かった。
求人はあるが内定率は低いーー。これは何を意味しているのか。
日本企業が「質」による学生の選別を強めていることが背景にある。「企業を引っ
張っていける優秀な人材しか採らない」ことを示している。
慢性的に人材の獲得に苦労し、とにかく人数の確保に躍起になってきた中小企業も
例外ではない。
煙突設計・工事メーカーのツカサテック(大阪市)。今年の春、10年ぶりの新卒採用に
踏み切ったものの、いまだに採用に至っていない。建築学科を卒業する学生を採りたいと
考えていたが、「中学校レベルの数学でつまずく学生も多数いた」と言う。現在も会社
説明会や選考試験を続けている。
同じリクルートワークスの調査では、従業員1000人未満の企業の来春卒業予定の大学生
への求人倍率は3.63倍と高い。それでも内定が得られないのは、明らかなミスマッチが
起きていることにほかならない。
中小・ベンチャー企業400社の採用を支援するネオキャリア(東京都港区)の篠原広高
コンサルタントは、「来春入社で優秀な学生を採用できなかったために、顧客企業の
8割が、次の採用活動の開始時期を1カ月~1カ月半前倒しした」と語る。採用を早めて
少しでも良い人材を採りたいと奔走する中小企業が増えているのだ。
不景気で採用する企業側にも余裕がなくなり、「どうせ採るなら将来の幹部になるよう
な優秀な学生しか採りたくない」というのが本音。採用する際の審査の目は厳しさを
増している。
ソース:日経ビジネスオンライン
URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)