09/11/22 23:04:59
科学技術に対する新政権の基本姿勢が問われるのではないか。
文部科学省の「次世代スーパーコンピューター(スパコン)」開発事業が、行政刷新
会議の事業仕分けで「事実上の凍結」とされた。
スパコンは科学技術研究用の高速計算機だ。最新のものはパソコンより100万倍も速い。
コンピューターの頭脳であるCPU(中央演算処理装置)が1000個以上、その他
部品も高速動作するものを使う。本体も巨大なことが多く、計算時の発熱を防ぐため、
ほとんどが空調完備の大部屋や建屋に設置されている。
気候変動予測や航空機設計、生命現象の解明など多分野で「シミュレーション(模擬
実験)」に使われている。実際の実験が難しい分野では欠かせない。研究期間の短縮、
費用の圧縮もできる。
その重要性から、世界で開発競争が展開され、日本の計画も世界をにらんでいる。
こうした意義を軽視していいのか。
現在、スパコン開発でトップを走るのは米国だ。上位機種の計算速度は、1秒間に
1兆回の1000倍程度に達している。
日本の次世代スパコンは、これを1桁(けた)上回ることが目標だ。1桁でも、例えば
航空機開発なら、単純計算で開発期間が10分の1になるのだから恩恵は大きい。
しかし、最先端で1桁性能を向上させるのは容易でない。基本部品である半導体の
開発など幅広く手がける必要があり、民間だけでは挑めない。
米国など各国も、政府発注により開発を進めており、日本も来年度予算の概算要求に
約270億円を盛り込んでいる。
事業仕分けでは「1位を目指す必要があるのか」「海外から買えばいい」などの声が
出た。こんな現状認識は甘い。
1位を目指すくらいでないと世界に伍(ご)せない。2002年に日本のスパコンが
計算速度で世界1位になったが、2年半で抜かれ、今は31位だ。中国、韓国が保有する
スパコンにも後れを取る。
海外から買うにも最先端技術は各国が詳細を秘している。一般的な性能のものしか買えない。
日本で最先端スパコンが使えないと、優秀な研究者が流出することにもなりかねない。スパコン凍結で日本の科学技術は衰退に向かう、との海外報道もある。
事業仕分けでは、他の科学技術関連予算も厳しくたたかれた。無駄排除は当然だが、
日本の科学技術の命脈を断つ事態は困る。
ソース:YOMIURI ONLINE
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
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