09/11/21 20:59:38
>>1のつづき
今回の事業仕分けでは、国策スパコンと共にGXロケットにとっても13日の金曜日と
なった。このロケットの開発も抜本的に見直すように結論づけたという。これはある
意味、象徴的な話だ。H2Aロケットが立派に育ち、さらに大型のH2Bロケットも打ち上げに
成功するなかで、なんで別方式のロケットが必要なのだかと思っていた。「大陸間弾道
ミサイルを開発したいのでは」と他国に無用の嫌疑を持たれてまで、別方式のロケットを
無理やり開発する必要はあるまい。
IT風に言えば、ロケットもアプリケーションのほうが重要なはずだ。その意味では、
H2Bロケットで打ち上げられ、国際宇宙ステーションとのドッキングに見事成功したHTVは
素晴らしい。大変な国際貢献だし、技術者を鼓舞し、宇宙飛行士を夢見る若者に大きな
夢を与えるだろう。科学技術立国の看板を色あせさせないために、税金はそんな分野に
生きたお金として使うべきだ。
国策スパコンは、どう見てもHTVではなく、GXロケットと同類である。富士通は
もちろん、NECも日立もスパコン事業から徹底したわけではない。H2Bロケットのような
高性能は期待できないかもしれないが、必要なそうした商用マシンを使えばいい。
日米経済戦争の頃とは違う。性能が足りなければ、IBM製品でも導入すればよい。
プログラム資産をどうするんだというなら、それこそ、そこに税金を使えばよい。
世界一速いスパコンを作れなくても、日本のIT力、ましてや国力の劣化にはつながら
ない。例えば、自前のコンピュータ・メーカーを失った英国がIT力を劣化させたなどと
いう話を聞いたことがない。それどころか、米国と共に世界経済を破滅の淵まで追い込ん
だ金融テクノロジというモンスターまで、スパコンをフル活用して作り上げている。
もはや日本も世界最速を争うスパコンF1グランプリから“撤退”すべきである。
本物のF1から撤退するホンダやトヨタは、F1撤退により大きなパラダイムシフトに
備えようとしている。金に糸目を付けず開発したF1マシンは、ガソリンを鯨飲し世界
最速を争うモンスターだ。商用車への技術的波及効果はイマイチ「?」だが、ブランド
力向上と社内のモチベーションアップに絶大な効果があったはず。世界同時不況の
直撃を受けたとはいえ、それでもF1から撤退するのは“スピードの時代”から“エコの
時代”への移行に備えてのことだろう。
もはやスピードは自動車の付加価値になり得ず、全社を挙げて電気自動車など次世代
カーの開発に集中しなければならない。F1撤退はそうした経営トップのメッセージだ。
翻ってIT業界を眺めると・・・。動きの速いIT業界は過去に二度パラダイムシフトが
あった。そうして今が三度目だ。日本のITベンダーはまたもや、米国ベンダーの後を
ついて行くことしかできそうにない。国策スパコン自体のことより、そちらのほうが
大問題なのだが。
-以上-