09/11/19 12:38:42
◎ソース URLリンク(itpro.nikkeibp.co.jp)
「日本のIT(情報技術)産業で世界一になった技術や製品、サービスというのは、
後にも先にも東芝のノート・パソコンぐらいしかありません。ことIT産業では、
なぜ日本企業が世界で勝てないのか。その理由を説明できますか?」
かなり以前のことだが、日本のあるITコンサルティング会社の経営トップにこう聞かれた。
私が答えに窮していると、その経営トップはズバリ言った。「ユーザー企業のレベルが
低いからです」
日本のユーザー企業は技術的に高度な要求や厳しい注文ができない。このため、日本の
ITベンダーが育たなかった。これが経営トップの主張である。「大手ユーザー企業である
銀行は保守的で冒険しようとせず、しかも『横並び』ときています。新しい技術を果敢に
取り入れて革新的なサービスや金融商品を開発しようというチャレンジ精神など全く
ありませんでした。だから国内ITベンダーから世界に通用する革新的な技術や製品が
生まれなかった。私はこう考えています」
これに対し、「米国の金融機関はチャレンジ精神に富んでいます」と経営トップは話す。
「革新的な技術や製品を要求するので、米国のITベンダーはかなり鍛えられました。
ベンダーに対して厳しい要求を出すのは金融機関に限りません。国防総省をはじめとする
軍事関係の政府機関や企業も、高度なセキュリティー技術などを随時要求しています」
ユーザー企業が出す高度な要求に応えるには、ITベンダーは高い技術力を磨く必要がある。
「こうして厳しく鍛えられた結果、米国のITベンダーは世界をリードするポジションを
手に入れたのです」
確かに「世界一」を手にしたのは、東芝のノート・パソコンくらいだ。 この話を聞いて、
妙に納得してしまったことを覚えている。
■世界に勝てる可能性があるコンビニのIT
しかし、少なくとも日本企業は、自動車やAV(映像・音響)機器では世界を席巻した。
だったらITでも、世界を席巻できるはずではないか。私は一方でこのように思っていた。
ITにも日本が勝てる分野がある---。「経営とIT新潮流」の人気コラム「ダメな“シス
テム屋”にだまされるな!」の最終回で、著者の佐藤治夫さんは指摘している。その1つが
コンビニエンスストアを支える情報システムだ。
もともと米国で生まれたコンビニ。だが、真の意味でのビジネスモデルを確立したのは、
セブン-イレブン・ジャパンだと言っても過言ではない。顧客視点に立ち、小規模店舗で
利便性のあるサービスの提供によってコンビニ業態を確立した。
その際に、情報システムが大きな役割を果たした。同社はPOS(販売時点情報管理)端末や
バーコードリーダー、高速光ファイバー、データベースなどのITを駆使している。
POSによって売れ筋商品と死に筋商品を割り出し、死に筋商品を棚から外して、頻繁に
新商品を入れる。結果的に、顧客が欲しいと思う商品だけを棚に並べることで、利便性を
提供している。
消費者が何かを求めてコンビニに駆けつけると、欲しい商品がすぐ手に入る。真夜中でも
早朝でも、公共料金を支払ったり、ATM(現金自動預け払い機)でお金を引き出したり、
振り込んだりできる。「こんな便利な店はない」ということで、我々の生活になくては
ならない存在になった。
※続く