09/11/16 22:39:16
前原誠司国土交通相の旗振りの下、急きょ組成された「JAL再生タスクフォース」が
解散されて2週間。現在、日本航空(JAL)の手元にはいくつもの請求書が届き、
総額は10億円弱にも上る。
11月中にも資金繰りが詰まる懸念があり、冬のボーナスさえ全額カットせざるを
えないJALにとって、いかにも重い金額だ。
約1ヵ月間、タスクフォース主導で、およそ100人の弁護士やコンサルタントらが
JALの資産査定と、それに基づく再建計画策定に走った。10億円はその費用である。
「経営共創基盤とPwCアドバイザリーから20人ほど、ボストン・コンサルティング・
グループから8人。西村あさひ法律事務所からは、常駐者だけで20人は下らなかったかな」
(JAL関係者)
国交相肝煎りのタスクフォースから送り込まれたとあって、JAL経営陣に事実上、
契約書へのサインを拒む権限はなく、「このほかにもいくつか、契約を迫られていた
会社があったが、タスクフォース解散で契約せずにすんでよかった」(同)という。
10億円で100人ということは、1人頭およそ1000万円。この金額自体は「業界では妥当」
だというが、タスクフォースの成果は実質ゼロで終わっているとの見方が一般的だ。
企業再生支援機構送りが決まったため、作成した再建案すら日の目を見ず、また一から
資産査定をし直すこととなったからだ。
ムダに終わった1ヵ月の費用を支払えるほど、JALの財布に余裕はない。「支払う
べきは国ではないか」と憤る関係者も多い。
ちなみに、経営共創基盤とPwCはそれぞれ、タスクフォースメンバーだった冨山
和彦氏と田作朋雄氏が籍を置く会社だ。
「通常、資産査定なら10人もいれば十分なはず」(銀行関係者)。JAL社員たちが
「タスクフォースチームのいいようにやられた」と臍をかむのも無理はない。
タスクフォースの置き土産はこれだけではない。この1ヵ月間、「債務超過8000億円」
などとした情報が漏れるなかで、JALの搭乗者は激減。信用不安も起きており、ただで
さえ厳しかった資金繰りは、予想以上に悪化している。
政府は1000億円規模のつなぎ融資を決めたが、「それでも1月末は越せないかもしれ
ない」(関係者)というから深刻だ。
年金問題や過剰債務の解消もさることながら、ビジネスモデルを立て直し、黒字が
出る会社にならない限り、JALに未来はない。しかしもはや、綿密に計画を練る
時間は限られている。
金融機関や財務省に対して安易に巨額出費を迫り、あっけなく敗北したタスクフォース。
残した負のインパクトは大きい。(「週刊ダイヤモンド」編集部 津本朋子)
ソース:ダイヤモンド・オンライン
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