09/11/14 13:14:46
厚生労働省は13日、日本の一人親世帯の「相対的貧困率」(2007年)が
54・3%に上るとの調査結果を発表した。
母子家庭や父子家庭などの半数以上が貧困状態にあることになり、
経済協力開発機構(OECD)の集計では、加盟30か国中で最も高い。
同省は10月に国民全体の相対的貧困率を15・7%と発表したが、
一人親世帯が貧困率を押し上げていることがうかがえる結果となっている。
相対的貧困率は、国民の所得を順番に並べた時に、真ん中の人のさらに半分の額を「貧困線」と定め、
それに満たない人の割合を示したもの。今回貧困線は、
07年の国民生活基礎調査を基に114万円とされた。
今回は、世帯主が18歳以上65歳未満で子どもがいる家庭を調べた。
一人親世帯の貧困率は1998年の63・1%よりも8・8ポイント、
04年の58・7%からは4・4ポイント改善したが、記者会見した山井和則政務官は
「労働者全体の賃金が下がっており、相対的に貧困率が改善しているだけ」と説明した。
大人が2人以上いる世帯の場合は貧困率は10・2%で、
一人親世帯との差が大きかった。07年の母子世帯数は約71万7000世帯、
父子世帯数は約10万世帯。
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母子家庭はより苦しい厚生労働省が13日に発表した一人親世帯の相対的貧困率54・3%という
数字は、一人親世帯が抱える問題を解決することが日本の貧困問題にとって
極めて重要であることを示唆している。
一人親世帯の半数以上が「貧困状態」となっている国は、
経済協力開発機構(OECD)加盟30か国の中では日本だけだった。
中でも、母子家庭の生活は苦しい。厚労省の2006年度の調査によると、
母子家庭の母親の雇用形態は、パートなどが43・6%と、
正社員などの常用雇用の割合(42・5%)より多い。父子家庭の父親の72・2%が
常用雇用で働いているのとは対照的だ。
母子家庭になって残業や出張ができず、正社員をあきらめるために生活が困窮する例も多い。
母子家庭の母親にとっては、子育てと仕事の両立が難しい現実は大きな壁だ。
生活保護の母子加算が12月から復活するのに加え、
来年度から高校授業料の実質無償化を目指すなど、
鳩山政権は子育て家庭への配分を増やす政策を打ち出している。
しかし、一人親世帯の貧困率を改善するためには、働き方を含めた広い視野での対策が急務だ。
(本田克樹)
(2009年11月13日21時53分 読売新聞)
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