09/11/05 01:25:09
国債の投資家の幅を広げようと、財務省が03年から販売している個人向け国債の人気が急落している。
世界的な経済危機に伴う金融緩和で金利が急落しているためで、09年度の発行額は販売開始以来、最低になる見通し。
税収の落ち込みで、09年度の新規国債発行額が初めて50兆円を上回る可能性が高い中、
財務省は個人向けの新商品を準備するなど打開策を模索するが、金利が上がらない以上、個人投資家を引きつけるのは難しそうだ。
ある大手金融機関は、国債の購入額に応じて商品券を贈るキャンペーンを10月から取りやめた。
少しでも高い利回りを求める投資家が多いため、主力商品はここ1、2年で新興国債券の投資信託などに移った。
「変動金利の10年国債を購入した投資家は、金利が年々減ることを実感しており、買い増す意欲がわかない」と苦しい表情を浮かべる。
個人向け国債は、ピークの05年度には年間7.2兆円が販売されたが、
財務省は先月30日、09年度の個人向け国債の発行予定額を、当初の2.4兆円から1.3兆円に減らした。
個人向け国債は、毎年4・7・10・1月の年4回発行する。
今年度は3回の販売が終わった段階で、販売額が目標の約6割にとどまり、減額を余儀なくされた。
1.1兆円の減額分は機関投資家向けの国債に振り向ける。
販売不振は、金融緩和による金利の低下で貯蓄商品として魅力が乏しくなっているためだ。
個人向け国債は金利変動型の10年債と金利固定型の5年債の2種類あるが、
主力の5年債の10月発行分の適用利率は前回(7月発行分)より0.22ポイント低い0.6%と過去最低。
ピーク時(07年7月発行分の1.5%)の半分以下しかない。
個人国債の発行残高は今年9月末で27.7兆円。
591.9兆円の国債発行残高(09年度予算ベース)の4.6%を占める。
今回の減額について財務省は、「個人向け国債のウエートはごくわずかで、国債消化に支障はない」と話すが、
個人投資家を増やし、投資家層の多様化を図ることは、将来も安定的に国債を消化するためには欠かせない条件だ。
財務省は個人向けの新商品として、「固定金利3年債」を来年7月にも発行する準備を進めている。
5年満期でも長いと感じる個人投資家に配慮したが、
「低金利のままでは、販売の起爆剤にはならない」(別の金融機関)と、反応は冷ややかだ。
ソース:毎日jp
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