09/11/05 01:05:46
かつて米国で「Where's the beef?」というテレビCMのフレーズが流行ったことがある。
元々はハンバーガーチェーンがライバル店の肉の小ささを皮肉ったものだ。
以来、政治の世界では政策を批判する際に「中身はどこにあるの?」という意味で使われている。
日本では「内需主導の経済への転換」というスローガンが1980年代以降、不死鳥のように蘇る。
リーマン・ショックで米国向け輸出が大打撃を受けると、
鳩山政権は再びこのスローガンを持ち出し、日本経済を内需型にすべく産業政策を打とうとしている。
しかし、これだけ堂々と「根拠なき政策」が掲げられることも珍しい。
つまり少子高齢化する日本社会のどこに今後の需要が見込まれるのか疑問なのである。
Where's the 「内需」?
世界の需要の中心はやはり米国、中国も少子高齢化が鮮明に
肝心な政策議論の際の報道にはすっぽり抜け落ちているため、国連が作成している国別人口見通しを加工した上で表に示した。
「最終需要=消費」という観点から、家計のフローが最も大きな20~49歳の層を意識している。
幾つかの注目点を抽出してみよう。
(1)現在の中国では中核世代が6.5億人超と国民の半数近くに達し、潜在需要がとてつもない魅力に映るが、「一人っ子政策」のおかげで2030年には少子高齢化が鮮明に
(2)高齢化はどの国でも見られ、ブラジルでさえ中核人口は20年後にピーク
(3)少子化対策に熱心なフランスは2010年と比べて大きな人口構成変化が見られず、現状維持に成功
(4)米国はヒスパニック系の移民流入を背景に一貫して中核的な年齢層を増やし続け、人口ピラミッドの形状は極端な変化を見せない。
これに対して日本では一貫して総人口が減少し、2050年は2010年から▲25%となる。
少子高齢化の進展や中核層の減少ぶりは、他国に比べてあまりにも極端だ。
鳩山政権が少子化対策に熱心なことは歓迎すべきだ。
しかしながら、2004年に「乳幼児迎え入れ手当て」を整備し、それ以前からも熱心に少子化対策を打ってきたフランスでさえ、
今の人口構成を守るのがやっとなのである。
とても日本がこの悲劇的な人口シナリオを回避できるとは思えない。
この人口見通しを見て、日本の国内需要を当てにできるだろうか。
結局、日本が得意とする中~高付加価値製品の売り込み先は米国を中心に、
中国や東欧など新興国を伸び代、そして欧州を押さえに考えるしかない。
日本は期待できない「ウィンブルドン現象」
移民受け入れまで踏み込まなくても、「場所」さえ提供すれば世界中のプレーヤーが集まり、産業が発展していくという事例もある。
英国が金融で一時期成功を収めたいわゆる「ウィンブルドン現象」のことだ。
だが、このタイプの発展を目指そうにも、日本の将来は悲観的にならざるを得ない。
その典型例として、東京・日本橋界隈をまさにロンドンのカナリー・ワーフのような金融街にするという構想があった。
リーマン・ショックが発生し、今となっては夢のような話だが・・・。
しかしそれ以前から、多くの国際金融関係者は「日本に多額の貯蓄があるからといって、東京が金融センターとなるには無理がある」と思っていた。
単にリスクマネーが不在であるから、と言うだけではない。
>>2に続く
ソース:JBpress(表あり)
URLリンク(jbpress.ismedia.jp)