09/11/01 19:39:23
秋田市郊外にある1学年150人の大学が全国の教育関係者から注目を集めている。
04年に開学したばかりの「国際教養大学」。少子化で地方の小さな大学が苦戦する中、
成功の秘訣は?
◆4年で卒業半数以下
メタセコイアの木陰の芝生に設置されたテーブルを囲む学生たち。留学生や外国人教員の
姿も目立つ。四方を森に囲まれた国際教養大のキャンパスは、アメリカの田舎のカレッジ
のようだ。地元の秋田杉をふんだんに使った教室では、日本人の男性教員が英語でアメ
リカの社会福祉政策について講義していた。1クラス平均15人前後の少人数教育。
教員との距離は近く、マンモス大学の教室で見られるような、居眠りしたり、メールしたり
する学生の姿はない。
最大の特徴はすべての授業が英語で行われることと、在学中に1年間の海外留学を義務
付けていることだ。このため、入学後はまず英語力を磨くための集中プログラムから
スタートする。専門教養を学ぶ次のステップに進むには、TOEFL(英語圏への留学を
目指す外国人らを対象にした英語力テスト)で500点以上取らねばならず、半年から
1年はかかる。
留学先は欧米やアジアなど29カ国・地域で、条件は留学直後から問題なく現地の授業に
ついていけるレベルのTOEFL550点以上。英語の上達が遅れれば、その分、留学
時期や卒業時期がずれ込むことになる。卒業生が出ている1期生(04年入学)と2期生
(05年入学)のうち、4年間で卒業できたのは半数以下だった。
◆24時間使える図書館
小山内優副学長が「勉強する環境としては日本一」と語る周辺環境も、教育効果を上げる
一因になっている。秋田市の中心から車で30分。キャンパス周辺には飲食店もコンビニ
もない。1年目は全寮制。留学生と同じ部屋になる可能性も高く、授業を離れても英語を
使わざるを得ない。2年目からは自由だが、約8割がやはりキャンパス内にあるアパート
で暮らす。
学生の出身地域は北海道から沖縄まで44都道府県。親元を離れ、あえて都会から遠く
離れた地での不便な生活を選ぶ学生たちの意識は高い。06年に入学した静岡県出身の
湯本尋康さん(22)は「勉強や生活で大変な思いをした方が人間として成長すると
思ったから」と話す。
沖縄県出身の伊良皆杏奈さん(18)は地元の琉球大にも合格したが、親の反対を押し
切って今春入学した。「課題が多くて、いまだに受験勉強が続いているみたい。休日も
(ショッピングセンターの)『イオン』に行くくらいで、あとは図書館にいます」。
図書館は24時間オープン。学生数数万人の総合大学の図書館に見劣りしない規模と
設備を備え、昨春、12億円かけて完成した。
◆就職率ほぼ100%
知名度は決して高くはないが、地方の新設大学としては異例の就職率の高さも注目を
集める理由の一つだ。今春卒業した2期生の就職率はほぼ100%。来春卒業する
3期生の内定先にも大手商社やメーカーなど大企業の名前がずらりと並ぶ。「当初は
企業の担当者とのアポもなかなか取れませんでしたが、教育内容が知られていくうちに
随分と変わりました」。源島福己キャリア開発室長は語る。
※まだ続きます。
◎公立大学法人 国際教養大学 Akita International University
URLリンク(www.aiu.ac.jp)
◎ソース URLリンク(mainichi.jp)