09/10/22 08:41:18
・データ大容量化、ウェブで保存
パソコンのデータを保存する記録メディアとして、かつて一世を風靡(ふうび)したフロッピーディスク(FD)や
光磁気ディスク(MO)の販売から撤退するメーカーが相次いでいる。
データの大容量化を背景に、ネット上でデータを保管するサービスや半導体メモリーの普及が
決定打となった格好だが、一方でなじみ深いFDの“引退”を惜しむ声もあがっている。
「データの大容量化が進んだことによる時代の潮流」。
記録メディアの業界団体「日本記録メディア工業会」の宮田一郎事務局部長はFDやMOの退潮の理由をこう語った。
大容量のデータを保存できるUSBなどの半導体メモリーやパソコンのハードディスクの大容量化に押され、
「時代の役目を終えつつある」というわけだ。
同工業会の調査では、FDの国内需要は平成7年の5億枚をピークに減少。
19年は前年比36%マイナスの3千万枚に。3・5型MOの国内需要も同比35%マイナスの520万枚だった。
需要減を受け、日立マクセルは9月末でMO販売から撤退。今年3月末にFD販売を終えた三菱化学メディアも、
12月末にMOの販売をやめる。ソニーはFDの販売は継続するものの、FD駆動装置の販売を今年度中にも
終了する予定。
・情報管理の変化
「記録メディアの需要の変化は、あくまでもメディアの保存・処理能力の高速化・大容量化などが一番の要因だが、
ネット上で情報を管理する大きな動きがある」と指摘するのは、東京大学大学院の西垣通教授だ。
「情報をウェブ上で管理する『ウェブプラットホーム』の考え方が広がっている」と話し、
FDなどの需要減の要因の一つに、情報管理に対する概念の変化があるとみている。
例えば、ネット検索大手のグーグルが無料で提供する大容量メールサービス「Gメール」では、
メールをネット上で保管する。パソコンにダウンロードする必要がないので、記録メディア自体が不必要だ。
また、エルネット社が提供する大容量ファイル転送サービス「宅ふぁいる便」では、送り手が100メガバイトまでの
データを同社のサーバーにアップロード。メールでパスワードを教わった受け手がそのデータをサーバーから
ダウンロードできるという仕組みだ。
これまで、大容量のデータを添付したメールの送受信は敬遠されがちだったが、
宅ふぁいる便の登場により、気軽に大容量データの交換が可能になった。
・需要はまだある
ただ、宮田事務局部長は「FDもMOも世界的な需要はまだある。業界の使命として、生産の安易な『クローズ』は
ないだろう」とも話す。実際、長年親しんだFDに愛着を持つユーザーは少なくない。
「ちょっとしたデータを他人に渡すときに便利」と話すのは、東京都内の研究者の男性(35)。
同じく都内に住む主婦(30)も「親がFDを使っていて、孫の写真などを渡すとき重宝する。コスト面でも気軽」
とFDへの思いを話した。
URLリンク(sankei.jp.msn.com)