09/10/17 23:39:34
(>>1のつづき)
◇野村の「最強の営業力」
昨今の業績悪化でリストラを迫られている大企業は多く、どんな事業会社だって「公募増資がしたくてたまらない」というのが
本音だ。しかし、公募増資の場合は何より、投資家の需要を集めるという骨が折れる作業がある。会社のホームページや
自社ビルの前で公募株を売るわけにもいかないため、幹事となる証券会社に販売を委ねることになるのだ。
だから公募増資は「やりたければすぐにできる」というものではない。そこで公募増資の販売で腕の見せ所になるのが、
幹事証券の営業力だ。人気がない玉であれば、顧客に強烈な営業をかけて捌くのが通例。国内では、その営業力で
野村に勝る存在はなく、それは市場参加者なら誰もが認めるところである(当然、野村ホールディングスの公募増資の
主幹事は「野村」であり、最強の営業力が駆使されたのは言うまでもない)。
ではこの公募増資がなぜマーケットで批判され、株価の下落の要因とされたのか、わかりやすく説明しよう。
野村の場合、野村ホールディングスの公募株の販売を傘下の野村證券で行うわけであり、普通に考えても集められない
わけがない。事実、国内では割当分の約3倍、海外では約10倍もの需要を集めてしまったという。
だからこそ、証券会社の公募増資は、マーケットで「非歓迎ムード」になってしまうのである。その野村が「年2回の公募増資」
というウルトラCを使ってしまった以上、「暗黙の了解で存在したモラルは崩壊する」との見方がもっぱらだ。
野村を主幹事とするメガバンクが、「野村さんが年2回するなら、うちだってできますよね?」と考えるのは自然であり、
それを野村も断れるわけがないからだ。また同時に、主幹事を務めて大型の公募増資を実施すれば野村には莫大な
手数料が入るため、野村にとってもメリットのある話になる。(>>3-5につづく)