09/10/08 14:12:57
(続き)
・家庭内送電の電圧は? コンセントの規格は?
一方で家庭の直流化には課題も多い。家庭内の直流送電の電圧をどうするか、
機器と接続するプラグの形状をどうするかなど、規格面での課題がその1つだ。
家庭内の交流電源は100ボルト、50または60Hzで供給されているのはご存じの通り。
送電規格がそろっているから、どんな機器でも安心してコンセントに接続できる。
では直流ではどうか。「一般的に(送電の)効率がいいのは300~400ボルトだろう」とシャープ。
一方でパナソニックはデモで48ボルトを想定した。
「60ボルト以下であれば(感電事故などがあった場合も)安全だと考えている。24ボルト程度という案もあるが、
将来、モーターなどを使う大型家電が直流化されたときに出力が足りなくなる可能性がある」(パナソニック)
パナソニックでは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と、住宅内交流・直流配信システムによる
省エネルギー効果の実証事業を計画してり、ここでも48ボルト以下を使って試作を行う。
家庭内送電の規格が定まらなければ、直流対応家電の開発も進まないというわけだ。
機器の直流化も課題だ。各機器が内部的に直流を使っているといっても、その電圧はかなり異なる。
携帯の充電器やUSBなどは約5ボルトだし、PCなどでは16ボルト程度。
結局は機器内かアダプタ部分に昇圧/降圧回路を組み込まなくてはならない。
LED照明やデジタル機器などは直流対応が早くから進みそうだが、エアコンや洗濯機などモーターを使う機器は
直流化が遅れるだろう。裏を返すと家庭内の電力消費の多くを占めるテレビ、エアコン、冷蔵庫、照明などのうち、
当初は照明くらいしか直流化による効率化の恩恵を受けられない可能性もある。
直流化に必要なシステム投資が必要な割に、家庭全体の消費電力の大幅な削減につながらない可能性がある。
シャープは「2015年に、すべての家庭内機器を直流化できる技術的な目処はついている。課題は規格などの調整だ」
と話す。
パナソニックも技術的な課題というよりも、各所を一斉に直流に置き換えなくてはいけないというシステム面が問題になると言う。
「(直流化は)住宅よりも、システムが一斉に導入できるビルなどのほうが早く導入が進むかもしれない。
企業のCSR的な観点でも直流化はアピールポイントになる」(パナソニック)
(記事終)