09/10/04 07:25:50
生活保護受給者に宿泊施設をあっせんする複数の事業者が、明確な説明をせずに不当に高い
家賃や食費などを保護費から徴収しているとして、全国の弁護士らが支援して受給者が
月内にも刑事・民事両面で法的措置に踏み切る。
順次、詐欺容疑などで刑事告訴する一方、不当利得の返還などを求める民事訴訟を起こす
方針。生活困窮者を狙った「貧困ビジネス」の被害は後を絶たず、各自治体も実態調査を
進めている。
弁護士らが法的措置の対象に挙げているのは東京、埼玉、千葉、愛知、大阪にある
約10の事業者。いずれも任意団体やNPO法人、不動産業者などで、社会福祉法に基づく
「無料低額宿泊所」や無届けの施設を運営する。主に路上生活者を勧誘して住居を提供した
うえで生活保護を申請させ、月12万円前後の保護費から生活費を徴収している。
住環境は改装した社員寮や倉庫、老朽化した賃貸住宅の手狭な一室が多く、家賃のほかに
食費や布団使用料などの名目で、10万円前後を請求する例もある。徴収方法として、
(1)入所者の銀行口座を管理して天引きする(2)自治体の窓口に同行し、その場で保護費から
集金する、などが目立つ。事業者側の手続きは不明朗で、口座開設について入所者に説明せず、
勝手に保護費を引き出したり、天引きや集金の際に明細書や領収書を出さなかったりする
例が多い。
入所者の自立につながる就職支援を実施していない施設も目立ち、入所期間が5年を超す
例もある。事業者の多くは「自立支援を進めている」と説明するが、それを裏付ける証言は
入所者から出ていない。毎月、少額しか手元に残らず、施設を抜け出して被害を訴える
例が相次いでいる。
千葉市内の施設に入所していた60代男性は無断で銀行口座を開設され、07年2月~今年4月に
保護費計約120万円を引き出されたという。大阪府内でも50~70代の男性3人が事業者に
口座を管理され、1食900~1300円と不当に高い弁当代を天引きされていた。
昨年夏、保護費を詐取したとして千葉市の事業者が摘発されたが、被害の全容が表面化する
例は少ない。このため、首都圏では8月、貧困問題に取り組む弁護士らが「無届・無料低額宿泊所
問題弁護団」(団長・宇都宮健児弁護士)を結成。近畿や東海の弁護士や司法書士らも近く
弁護団を組織し、全国で支援のネットワーク化を図る考えだ。
一方、千葉、さいたま、大阪、堺各市などは一部施設で入所者の自立が妨げられている
疑いがあるとみて、実態調査を始めた。事業を規制する新たな法整備などについても
厚生労働省に求めている。(室矢英樹、宮崎園子)
▽News Source asahi.com 2009年10月4日3時0分
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▽厚生労働省
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