09/10/02 17:33:30
自動車販売で世界1位、トヨタ自動車の豊田章男社長は2日、日本記者クラブの
講演で、トヨタの現状について、企業の凋落で存在価値が消滅する一歩手前の
「救世主にすがる」段階にあるとの認識を示した。経営に慢心があったと述べた。
また販売不振は顧客から離れてしまったからとし、今後は若い人材の育成に
力を入れていくなどと語った。
豊田社長は米国の経営学者、ジェームズ・C・コリンズが唱える企業凋落の
5段階分析を例に挙げ、トヨタは「企業が凋落する5段階のうち、第4段階にある」
と指摘した。コリンズの定義では、企業が凋落していく第1段階「成功体験から
生まれた自信過剰」、第2段階「規律なき規模の追求」、第3段階「リスクと危うさ
の否定」、第4段階「救世主にすがる」、第5段階「企業の存在価値が消滅」と
なっている。
その上で、豊田社長は過去のトヨタの姿勢を、ゴルフのハンディキャップに例えて
「世界1を狙っていたとき、実力は13-14のハンディキャップなのに、周囲に褒め
られて、自分はシングルのハンディキャップと勘違いしていた」と、慢心があった
ことに言及した。
過去を振り返る中で、豊田社長は自身の社長就任時に、「トヨタはお客様から遠い
ところに来てしまった」という印象を抱いたことを明らかにし、現在の自動車販売
不振について「車から離れているのは若者ではなく、われわれメーカー側だ」と
指摘した。
さらに、「救世主は私ではなく、これからの100年の車作りを担う若い人」と言明した。
「人材育成がトヨタのDNAであり、将来においても重要な要素となる」と強調、
自ら人材育成に積極的に取り組む姿勢を示した。
また、自動車業界は100年に一度の変革を求められており、「変革に乗り遅れると
敗者になる」と危機感を示した。今後、ハイブリッド車を普及させるのが使命と
述べると同時に、電気を利用した技術の開発にも一層力を入れると語った。トヨタの
今年のグループ世界販売は730万台の計画としている。昨年の世界販売は897万台だった。
●豊田章男社長
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◎ソース
URLリンク(www.bloomberg.co.jp)