09/09/25 15:52:11
「死にたい」。老々介護で認知症の夫を支える80代の女性がベッドの下からロープを取り出すと、
天井を見つめる仕草をした。9月上旬、横浜市の介護福祉士、田中道子さん(48)が民家を訪ねた時の光景だ。
女性は気むずかしく、他人が自宅に入ることを嫌がったが、1カ月前に肩を骨折して受け入れざるを得なくなった。
ロープを取り出したこの日、田中さんが温かいタオルで体をふくと表情が和らぎ、こうつぶやいた。
「100歳まで生きられる」
介護の現場は重労働と低賃金で知られる。だが、それを支えるのは、人を助けたいという熱意と気概だ。
田中さんの月収は40時間の残業代を合わせても、手取り20万円ほど。
市内の訪問介護施設所長として管理業務をこなしながら、この女性のように対応が難しいケースは自ら担当する。
「介護はボランティアと思われがちだが、仕事としてなくてはならない職種になっていることを分かってほしい」。
民主党が言う「月給4万円引き上げ」は、財源を心配しつつも期待している。
「社会保障は安全保障と並ぶ国家の礎」。長妻昭厚生労働相は就任会見で、後期高齢者医療制度の廃止を明言した。
だが、介護はなかなか話題に上らない。
田中さんの同僚の介護福祉士、斉藤美恵さん(50)=仮名=の左手薬指には、小さな傷がある。
認知症の女性の着替えを手伝っていて、指を強くつかまれたつめ跡だ。
車いすから降ろそうとしても、女性は力を緩めない。無理に手を抜くと転倒するので我慢するしかない。
今年に入って夫に先立たれた。長女(21)は今春就職したが、長男(19)は大学生。
手取り約18万円の月給で家計を支える。介護職の離職率は約2割。
「仕事が多くて余裕がない。仕事に見合った報酬にして、働く人を増やしてほしい」と切実に願う。
4月の介護報酬3%引き上げでは、定期昇給があっただけで賃上げは実現しなかった。
事業者の経営が苦しく、アップ分が人件費に回らないのが実情だ。
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