09/09/16 02:33:52
09記者リポート:富山市、市内電車が環状運転 利用者増、高まる利便性 /石川
◇車に依存見直す必要も
富山市中心部で今年12月、市内電車(路面電車)の延伸区間が開業し、市内電車が環状運転を始める。富山市が
進める「コンパクトなまちづくり」の一環で、中心市街地の利便性を高めるのが狙いだ。環境に優しい路面電車は世界的に
再評価されており、富山の試みは成功すれば新時代のまちづくりのモデルケースとなる。
◆どんな計画か
「市内電車」として親しまれている南富山駅前-大学前間(6・4キロ)の路面電車。このうち丸の内電停から西町電停まで
約940メートルをつなぎ、県庁や市役所、百貨店・富山大和などが集まるエリアを線路で囲むのが環状化計画だ。
開業後も既存の市内電車はこれまでと同じように南富山駅前-大学前で運行。その合間に、市内をぐるぐる回り続ける
電車を走らせる予定だ。延伸区間は単線のため、環状運転する電車は逆時計回りの「一方通行」となる。富山駅-丸の内-
西町の順で回る。環状線は日中約10分おきに運行し、一周約20分と見込む。
総事業費は約30億円。うち8億円が新車両の購入費で、残りは線路や架線の工事費。全体の3分の1以上は国が補助する。
◆建設の枠組み
市内電車は「富山地方鉄道富山市内軌道線」という私鉄だ。それなのに市が建設を進めているのは、建設にあたり「上下分離
方式」を採用したからだ。
線路の建設と車両の購入は市が引き受け、開業後も鉄道施設は市が保有し、維持管理を行う。富山地鉄は市から線路と車両を
借りて電車を運行し、営業収入から使用料を支払う。この方式なら鉄道会社の投資が大幅に減るため、迅速に新しい路線を開業できる。
本来、路面電車は施設保有者と運行会社は同じでなければならなかった。しかし国が07年、地域公共交通の再生を目指し、路面電車の
上下分離を認める「軌道運送高度化事業」を開始。翌年、富山市の環状化計画が第1号の事業として認定された。
◆開業すると
現在、市内電車の利用者は1日当たり約1万人弱。市は「環状運転が始まれば、利用者は1割程度増える」と見込む。北陸新幹線開業でJ
R富山駅が高架化された後は、駅北側に発着する路面電車「富山ライトレール」と接続し、相互に乗り入れる計画もある。同市路面電車
推進室は「路線網が広がれば利便性が高まり、利用者はもっと増える」と期待を寄せる。
また市や富山地鉄は環状化に合わせ、小銭なしで電車に乗れるICカード乗車券の導入を決めている。首都圏の「スイカ」や関西の「イコカ」
などと同じく、買い物や飲食にも使えるようになる。
しかし市内電車の利用者は、90年には同1万8000人。約20年で半分近くまで減っている。利用者をV字回復させるには、車に依存する
私たちの生活スタイルそのものも見直す必要がある。
URLリンク(mainichi.jp)