09/09/09 01:09:26
>>1の続きです。
ものづくりはできていても価値づくりができていないことを象徴しているのが、日立製作所、NEC、ソニーなどの
電子情報機器産業だ。ものづくりが得意な日本企業からは、新型の液晶テレビや携帯電話など次々に
市場導入される。しかし、安売り合戦に陥り、価値づくりはできていない。
では、価値づくりのためには、何が必要なのだろうか。それは、(1)企業固有の独自性の高い価値を創ること、
および(2)顧客が喜んで大きな対価を支払いたくなるような価値を創ること、の2点に集約される。これらによって
価格競争から抜け出ない限りは、社会貢献に通じる価値づくりはできない。
◆競合に真似されない独自性とは
まず、「企業固有の独自性の高い価値」とはどういうものか。日本企業は競争が好きなのか、どの企業も
似たような商品ばかりを出してくる。もちろん、企業も何とか差別化を実現しようと一生懸命に努力している。
しかし、これだけ技術力が均衡している中で、機能的に他社よりも優位性を持った商品を出し続けることは
不可能に近い。
それでも、一流の日本企業であれば、確率的に時には差別化商品で成功する場合もある。だから
やめられないのだろう。しかし、国際的な競争が年々厳しくなっているので、機能的な優位性を維持できる
確率は下がり続けている。最も弱いプロ野球チームでも3割は勝つことを思い出してほしい。たまに成功する
商品が出ても、確率が低ければ駄目なのだ。
そこで、企業は個々の商品や技術以上に、企業の強みとして、組織能力での独自性や差別化を
実現しなくてはならない。
経営学(戦略論)において、過去20年間にわたり組織能力の重要性が注目されてきた。その流れの中で
1990年に出版され世界的なベストセラーになったのが、ゲイリー・ハメル教授とC・K・プラハラード教授による
『コア・コンピタンス経営』(日本経済新聞社)である。
組織能力やコアコンピタンスは個々の商品とは異なり、競合企業にすぐに真似されることがない底力である。
組織能力が模倣されないのは、個々の企業の中で、長年積み重ねられてきているからだ。長年の学習
プロセスによって構築された組織能力は、競合企業には短期間で真似することができない。
ものづくりにおいて鍛え続けている日本企業は、実は組織能力が高い場合が多い。シャープの液晶やNECの
半導体などは、強い組織能力に支えられている。
記事は>>3以降に続きます。