09/07/16 00:36:49
>>1の続きです。
このトリックは、財政予測の想定値を大幅に底上げさせることで編み出している。04年段階でほとんど
ゼロだった賃金上昇率は11年にはなんと 4.1%に高まり、運用利回りも4.4%、女性や60~64歳の高齢者の
労働者割合も8~9割と大幅に高まることを前提に算出。いまの状況から、それが絵に描いた餅であることは
誰の目にも明らかだろう。
少子化のさらなる進行、経済状態の悪化など、現実を織り込んで私が試算したところでは、現在の
受給者と現役世代の年金収支には著しい格差が生じる。
たとえば、40年生まれの人が平均余命まで生きると、「生涯に受け取る受給額」から「生涯に支払った
保険料」の差額は3100万円となり、その分、生涯収支は得となる。一方、60年生まれの人の収支は、
マイナス200万円。下の世代にいくほど格差は広がり、70年生まれの人の場合は、その額マイナス
970 万円に。つまり現在40歳の人は、約1000万円もの払い損となるのだ。
これでは、祖父が子から孫の世代へ莫大な負債を受け継がせるようなもの。このように、08年までの
経済状況と新人口予測を反映させて試算すると、「100年安心」どころか、60年には積立金は完全に
枯渇してしまう。
仮に政府の少子化対策が、劇的な効果をあげたとしても、今後生まれる子供が就労するのは
約20年も先のこと。年金財政にもたらす貢献度は非常に限定的だ。
結局、賦課方式こそ諸悪の根源となる。世代間の不公平をなくすには、相互依存関係がない積み立て
方式に戻すしかない。その場合、現在の高齢者世代と自分たちの老後の年金を二重に支払う、現役世代の
負担は一時的に重くなる。が、国にいったん高齢者分の負債を背負ってもらい、その後、何世代にも
わたって広く薄く負担する形をとれば、現役世代だけに負担を押しつけずとも移行は可能となる。
だが残念ながら、それでも70年生まれ以降の年金収支は払い損になる。しかし、その後はすべての
世代で、損失は300万円以内に収まることになる。
-以上です-