09/07/05 00:56:48
◇君津などピーク1日6880台--事故や道路の傷みも懸念
来秋までの羽田空港拡張工事に伴い、君津地方で採取された山砂を運ぶダンプカーの通行量が、今年に
入って激増している。国土交通省の事業計画によると、搬出量がピークとなる9~12月は1日延べ6880台が
採取現場と港を早朝から夜までピストン輸送する予定という。交通渋滞や騒音、振動、排ガス汚染など
深刻化する「ダンプ公害」に、地元から悲鳴が上がっている。
羽田空港は来年10月に4本目となるD滑走路の供用を開始する予定で、工事が急ピッチで進められている。
埋め立てなどの工事に使われる山砂は、木更津市畑沢▽君津市小糸▽同市小櫃▽同市戸崎▽富津市天羽
▽同市大佐和▽同市笹子▽市原市川原井--の5市8地区の40カ所で採取されている。
山砂の搬出は07年5月に始まり、来年2月までを予定している。搬出総量は、東京ドーム22杯分の
2740万立方メートルに上る。
山砂の搬出量は、地盤改良工事が中心だった07年度は850万立方メートル、護岸築造工事が主だった
08年度は770万立方メートルだった。ところが、工事最終年度となる今年度は、埋め立て工事で1120万
立方メートルと、これまでの1・5倍の山砂が使われる見込み。
1カ月当たりの搬出量は、今年4月には60万立方メートルだったが、5月は90万立方メートル、6月は
100万立方メートルに増え、7~8月は115万立方メートルに膨らむ見通し。工事がピークを迎える9~
12月は、工事開始から最高の月120万立方メートルを運び出す予定という。
この4カ月間は、毎日延べ7000台近くのダンプが君津地方を往来する。このうち4分の3は高速道路を
利用するが、4分の1は一般道を走る。大半は木更津港と袖ケ浦港を利用し、ごく一部は富津市の金谷港へ
向かう見通し。
ダンプは通行時間帯の午前6時から午後7時まで、排ガスや砂ぼこりをもうもうと巻き上げ続ける。
木更津港に近い木更津市の国道16号桜井交差点は現時点で、ダンプが10台以上も連なり、一日中渋滞が
続いている。信号を無視して交差点に進入するダンプも目立つようになり、住民は交通事故を心配している。
君津市小櫃では、狭い山道をダンプが走り、カーブでダンプ同士や観光バスがすれ違いに難渋することも日常的だ。
よく見かける10トンダンプから25トンのトレーラーが山砂を満載して走るため、道路の傷みも懸念されている。
各地でアスファルト路面に轍(わだち)ができ、特に傷みの激しい15カ所は応急補修された。君津市青柳では、
道路沿いにある井戸が土砂で埋まり、枯れる被害も出ている。
山砂採取場の周辺は様子が一変し、茶色く荒涼とした風景が広がっている。富津市の標高170メートルの
浅間山は削り尽くされ、姿を消した。君津市小糸、小櫃地区などでも、山が削り取られた跡には高さ50メートル
から100メートルの切り立ったがけが多数出現し、近くの住民は、大雨になどによるがけ崩れを心配している。
▽ソース:毎日.jp (2009/07/03)
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