09/06/08 04:05:07
08年度の国民健康保険(国保)の保険料で、最大3.6倍の地域格差が生じていた
ことが、毎日新聞の全市区町村調査でわかった。自営業者や農漁業者のほか、年金
生活者や失業者の加入が多い国保は「国民皆保険」制度の根幹だが、国の医療保障
政策として公平性に問題があると批判も出ている。また126市町村(7.0%)が、
所得の20%以上の保険料を集め、うち2市町では25%を超えていることも判明した。
無保険は保険料滞納で生じるため、全1794市区町村(2広域組合を含む)の07、
08両年度の実態をアンケートなどで調べた。06年度の厚生労働省の調査で、国保
加入の1世帯あたりの平均所得は166万円だった。同年度までの10年間で約220
万円との間を推移していることから、「世帯所得200万円で、40歳代夫婦と未成年
の子2人の4人家族。固定資産税額は5万円」というモデルを設定し、年額の保険料
算出を求めた。このモデルでは計算不能な住民税方式を採用するなどの39市区町は
除外した。
08年度の最高額は、大阪府寝屋川市の50万4030円で、北海道喜茂別町の
50万2500円、福岡県矢部村の49万800円が続いた。最低額は東京都青ケ島村
の13万9900円。続いて神奈川県開成町の16万2560円で、20万円未満が
9町村あった。
寝屋川市では、子どもが1人増えるごとに4万2160円ずつ増額される。
今回のモデルで所得を400万円に設定すると、同市の保険料は80万円を超える。
全国平均額は、08年度で前年度比4.0%増の32万5165円だった。前年度から
値上げしたのは、801市町村で、値下げは458市町村。値上げ額の最高は、和歌山
県湯浅町の19万9120円(74.5%増)で、204市町村が5万円以上を増額し
ていた。
保険料高騰の原因については、被保険者の高齢化と医療高度化による医療費増を挙げる
自治体が多かった。90年代以後に増加した失業者や非正規雇用労働者が国保へ移り、
運営を困難にしているとの指摘もあった。
今後の国保運営のあり方も聞くと(複数回答)、39.5%が国費投入の拡大が必要
とし、35.4%が都道府県単位や国単位の広域化運営を求めた。サラリーマンや
公務員が加入者で運営基盤が比較的強固な被用者保険との一体化を、21.5%が
望んだ。保険料引き上げは滞納を増やす結果ともなるため、一層の増額が必要との声は
1.1%しかなかった。
◇国民健康保険の保険料
自治体によって保険料、保険税として集める。内容は、医療分▽後期高齢者支援金分
▽介護保険分(40~64歳が対象)で構成され、3種を合計して算出する。3種とも、
(1)所得割り(2)資産割り(3)平等割り(4)均等割りの4種の保険料からなる
ことが多い(4方式)。所得割りと資産割りは、世帯ごとの所得や固定資産税額に一定
料率をかけて算出。平等割りは1世帯ごとに割り当てる一定額、均等割りは一定額に
世帯の人数を掛けたもの。これに対し、住民税額を基に算出する方式もある。滞納世帯
は08年度に20%を突破した。
※まだ続きます。