09/05/31 07:30:50
日本の地球温暖化対策は産業界に甘すぎるのではないか―そう疑いたくなる試算がある。
朝日新聞が民間シンクタンクに依頼し、産業、事務所や商店などの業務、マイカーや
トラックなどの運輸、そして家庭の部門ごとに、2020年時点の温室効果ガス削減の量を
はじき出してもらった。
シンクタンクが計算に使ったのは、政府が公表している2020年までの中期目標の選択肢の
データ。削減量の選択肢(3)「7%減」から(5)「15%減」になっても、産業部門に求められる
削減量は200万トンしか増えない。一方、家庭部門は1500万トン増え、5割増しとなった。
産業界の排出量はおおまかに言うと、生産量に省エネ努力などを加味することではじき
出される。主要産業の生産量を維持し、省エネの余地が少ないという前提では、産業界に
求められる削減量はさほど変わらない。中期目標の削減の数値を引き上げても、産業界が
自らの生産量を守る限り、家での電気の使用やマイカー利用など家計へしわ寄せがいく
構図がくっきりと浮かび上がる。
なぜ、このような結果となったか。背景には、鉄鋼をはじめ排出量の多い業界の強い
働きかけがあった。
2月10日。麻生首相が6月前半に発表する中期目標の検討委員会のワーキングチームの
会合で、日本鉄鋼連盟の代表者が国立環境研究所(国環研)が示した鉄の生産量(粗鋼生産量)の
推計値にかみついた。
「そんなに下がるのはおかしい」
鉄鋼業界の推定では、20年の生産量は過去最高水準の「1億2000万トン」。一方、国環研は
それを1300万トン下回る1億700万トンと見積もっていた。鉄連の代表者は「内需は横ばいだが、
(自動車などに使われる)鋼材を中心に外需は増える」と主張。結局、10年余り先の生産量は
業界の言い分が通った。
世界経済危機を受け、今年の鉄の生産量は1億トンを割り込むとみられている。
だが、経済産業省OBの宮本武史・日本鉄鋼連盟常務理事は「積極的に変える必要はない。
私どもの説明がご理解いただけた」。思惑通りに生産量を確保し、もはや「勝負あった」との
思いがにじむ。
業界の言い分に沿って、生産量が決まったのは鉄鋼だけではない。排出が多いセメント、
エチレン、紙などの業界も同じだ。産業界は「これ以上の省エネは難しい」とも主張した。
>>2に続く
▽News Source asahi.com 2009年5月31日5時0分
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中期目標の部門ごとの削減量
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