【コラム】ケインジアンの勝利?-東京大学教授、伊藤元重氏[09/05/17]at BIZPLUS
【コラム】ケインジアンの勝利?-東京大学教授、伊藤元重氏[09/05/17] - 暇つぶし2ch2:依頼@台風0号φ ★
09/05/18 00:48:51
>>1の続きです。

 新古典派のマクロ経済政策の基本的な考え方は、金融政策では経済を安定化させるようなルールを固持し、
裁量的な動きをすべきではないというものだ。景気の動きに右往左往しないで、一定の貨幣供給量を維持
すべきだ、というのが当初のフリードマン教授の主張であり、最近の金融政策の姿勢でいえば一定のインフレ
率を指標として金融政策を運営しようというインフレーション・ターゲッティングの考え方と共通している面がある。

 財政政策については、新古典派は均衡財政をめざし、財政支出や税率の調整で景気対策をすべきでは
ないという考え方であった。また過度な政府による介入を嫌い、規制緩和を推進していった。

 1980年代以降は、新古典派が世界の主要国の政策に大きな影響を及ぼした。

 主要国の金融政策は70年代までのインフレを抑えることに見事に成功し、1990年代以降は主要国から
インフレの脅威は去ったといってよいだろう。また、規制緩和が功を奏して米国を中心に高成長が続いた。
2000年から2007年の8年間は、世界全体の経済成長率は過去最高の水準であったといってよい。

 ただ、こうした新古典派的な政策の成功の背後に、大きなリスクが隠されていたのだ。

 1960年代までのケインジアンの成功が1970年代の混乱につながったように、最近までの新古典派的な
経済政策運営の成功が、金融危機で一気にひっくり返され、そしてケインジアン的な考え方が息を吹き返して
きたのだ。

 新古典派的な経済政策運営の下では、インフレが見事に抑えられた。しかし、それが積極的に成長を志向
する政策運営を促し、結果的にバブルを生み出してしまったのだ。また、インフレが抑えられていたがゆえに、
世界の多くの国が今度はデフレの危機に直面することになった。さらにまた、行きすぎた規制緩和が金融の
暴走を招き、世界的な金融危機にまでつながってしまったのだ。

 さて今後、世界の経済政策はどのような理念によってリードされるのだろうか。当面のところは、この厳しい
不況を乗り切るために、世界中の国が大規模なケインジアン政策を展開している。また、金融分野を中心に
行きすぎた規制緩和が見直され、新たな金融秩序が模索される模様だ。

 日本でも、新自由主義が見直され、社会民主主義を標榜する議論が盛んだ。しかし、「ケインジアンか
新古典派か」あるいは「新自由主義か社会民主主義か」という二元論では、歴史は繰り返すばかりである。

 ちょうど1970年代に学生時代を過ごした私のような世代には、デジャブ(既視感)を感じさせる。そのような
非生産的な二元論から脱却して、新しい時代の政策観を確立していく必要があるのではないだろうか。

-以上です-


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