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ホンダの福井威夫社長は15日、ロイターのインタビューに応じ、モーターを1つ
だけ搭載する現行のハイブリッドシステム以外に、2つのモーターを搭載した新たな
機構を開発する方針を明らかにした。
2月に発売した「インサイト」よりも大きな車への搭載を念頭に置いており、将来は
家庭で充電可能なプラグインハイブリッド車につなげたい考え。
<トヨタと異なる独自の機構を開発へ>
福井社長は「(現行の機構は)大きな車に向いていない。『アコード』や(SUV)の
『CR-V』クラス(のインサイトより大きな車)に対応しなくてはならず、(撤退
した)F1の技術者も投入して研究している」と語った。その上で「現行の機構だけに
こだわらない。何種類かのハイブリッドシステムに取り組んでいく」と表明した。
時期は決まっていないが、2つのモーターを搭載した機構を開発する。
ホンダが「シビック」や「インサイト」に積んでいるハイブリッドシステムは、搭載
するモーターが1つで、発進と加速時にエンジンを補助する。構造が簡単で低コストな
ことから小型車に適しているものの、2つのモーターを搭載するトヨタ自動車の機構に
比べ、大きな車には向かない。ホンダは大きな車の環境対策にはディーゼルを使う
つもりだったが、軽油価格の高騰などで計画を中断しており、新たな対応を迫られていた。
また、2つのモーターを使う機構は電気で走行する割合が多く、より電気自動車に近い
プラグインハイブリッドにつなげやすい。福井社長は「将来のプラグインを視野に入れ
ながら開発していく」と述べた。ただ、2つのモーターの機構はトヨタが多くの特許を
保有している。福井社長は「トヨタがすべての特許を持っているわけではないし、
トヨタのシステムがベストだとも思わない」と指摘。独自の機構を開発する考えを示した。
<業績は10年3月期が底>
ホンダはハイブリッド車を環境技術の柱に据えているが、福井社長は「今の段階では
いろいろなシナリオが考えられる。環境がどう変化しても困らないようにしておく」
と語った。化石燃料が枯渇したときに備え、水素で走る燃料電池車をすでに商品化して
いるほか、ハイブリッド車をバイオ燃料で動かすことも想定している。世の中の注目が
集まる電気自動車の開発には取り組んでいないが、福井社長は「何のリスクも感じて
いない」と述べた。燃料電池車の燃料電池をリチウムイオン電池に置き換えれば
「いつでも対応できる」という。
このほか福井社長は、ホンダの業績について「通期は今年度が底になる」と語った。
四半期ベースでは前1─3月期が最悪期で「今年度第1・四半期、第2・四半期と
少しずつ上向き、下期には確実に上向く」と述べた。主力の米国市場に関しても、
ホンダの販売は底を打ったという。ホンダは2010年3月期の連結営業利益を
前年比94.7%減の100億円と見込んでいる。
また、福井社長は、2月に発売したハイブリッド車「インサイト」は受注が好調なこと
から、国内での販売が計画の6万台を上振れる見込みであることも明らかにした。
3月末に投入した米国でも計画より好調に推移しているという。
◎本田技研工業 [コード/7267] URLリンク(www.honda.co.jp)
◎ソース URLリンク(jp.reuters.com)